第一章
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三つのシトロン
イタリアのある国にチェンツッロという王子がいた、眩い金髪で睫毛の長い黒い目と彫のある引き締まった面長の顔と長身を持っている。聡明で心優しい王子として知られていた。
その彼が家族と共に食事を摂っている時だった。
彼はナイフで自分の指を切ってしまった、それで血が流れたが。
その血を見てだ、彼は父である王にこう言った。
「父上、私はこの赤い血とチーズと同じ色をした女性を探したいです」
「何故そう言うのだ?」
「神託を受けました」
その血を見てというのだ。
「それが素晴らしいことに至ると」
「それでか」
「はい、それで旅に出てです」
王子は父王にさらに話した。
「その女性を探したいのですが」
「また急だな、だが旅は己の見聞を広めることになる」
王はこのことから考えて答えた。
「いいことだ、ではな」
「はい、これよりですね」
「金と供の者達を預けるからな」
「それで、ですね」
「旅立つがいい」
「有り難きお言葉」
チェンツッロは父王の言葉に頷いてだった。
金を貰い供の者達を連れてだった。
多くの国を巡った、だが。
ジブラルタルに来た時に彼はこう言った。
「海を渡るか」
「えっ、海をですか」
「そうされるのですか」
「そして大海原を越えてだ」
そうしてとだ、供の者達に話した。
「その先に行こう、帰りたい者は帰っていい」
「いや、まさかです」
「各国を巡り歩いてです」
「さらに先に進まれるとは」
「王子はそこまでお考えですか」
「その女性と巡り合う為にな」
まさにというのだ。
「そうしたいのだ」
「そこまでお考えとはです」
「我等驚きました」
「ですがそこまで言われるなら」
「我等もお供します」
こう言ってだった。
供の者達もついていった、船に乗り大海原を渡ってだった。
西インド諸島に着いた、そこでも差様々なものを見てだった。
ある時一人の老婆と出会った老婆は車輪の上に座っていてそこからチェンツッロに対して尋ねてきた。
「身なりはいいが何処から来たんだね?」
「実は」
チェンツッロは老婆に全てを話した、すると。
老婆は全て聞いてだ、彼に話した。
「もうあんた達の旅は終わりだよ」
「終わりなのか」
「そうだよ、これを持って国にお帰り」
老婆はチェンツッロに微笑んで話してだった。
傍にあったシトロンの木から三つの実を取ってナイフと一緒に王子に渡してそのうえであらためて言った。
「それで最初に出会った泉でだよ」
「そこでなのか」
「そのほとりで実を切るんだよ」
シトロンのそれをというのだ。
「そうしたら妖精が出るよ」
「妖精がなのか」
「そしてその妖
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