第一章
[2]次話
優勝と言うと
根室寿には口癖がある、その口癖は何かというと。
「阪神今年は優勝だな」
「お前それいつも言うな」
通っている塾のクラスメイトが言ってきた、八条塾の一番成績がいいクラスでのことだ。寿は成績優秀で通っている中学でもそのことでも有名である。
「特にシーズンオフは」
「史上最強の投手陣があるからな」
寿は自分の口癖の根拠を見せた。
「だからな」
「野球はまずピッチャーか」
「阪神は伝統的に投手陣はいいんだよ」
「それはそうだな」
クラスメイトもそれはと認めた。
「今年は特にな」
「だからなんだよ」
投手陣が盤石故にというのだ。
「前半のあのピントを覆せたんだ」
「四月まで凄かったからな」
「負けが続いたけれどな」
それでもというのだ。
「それをどうにか出来たのはな」
「ずっと投手陣が崩れないでか」
「そこに打線が奮起したからだろ」
それ故にというのだ。
「阪神は借金を完済出来てだ」
「二位にまでなったな」
「奇跡が起きたんだ、打線が打てば」
その時はというのだ。
「阪神は無敵なんだよ」
「だから優勝か」
「クライマックスに勝っても優勝だ」
このことには変わりはないというのだ。
「だからな」
「今年はか」
「阪神優勝だ、ヤクルトが一位でもな」
その意味でヤクルトが優勝してもというのだ。
「シリーズに出るのは阪神だ」
「そうなるんだな」
「そしてパリーグのどのチームが出ても」
「そのチームもやっつけてか」
「日本一だよ」
塾の授業がはじまる前に自分の席で豪語した。
「そうなるんだよ」
「そうか、言うな」
「何度も言うぞ」
絶対にと言うのだった。
「阪神優勝だってな」
「まあ俺も阪神ファンだけれどな」
寿に言う友人緒だった。
「けれどな」
「それでもか」
「お前には負けるよ」
阪神への想いはというのだ。
「正真正銘の虎キチだな」
「そうだよ、僕の血は黒と黄色の縞なんだよ」
寿は強い声で答えた。
「下着も黒と黄色の縦縞だしな」
「そのトランクスだよな」
「シャツもな」
見れば着ている服も阪神のユニフォームのカラーだ。
「そうなんだよ」
「帽子も阪神でな」
「僕にとって阪神は生きがいなんだ」
本気の声だった。
「だからこれからも応援するし言うぞ」
「阪神優勝ってか」
「ずっとな」
まさにというのだ。
「言うぞ」
「本気なのがわかるよ」
「実際本気だよ」
「だからか」
「ああ、これからも言うよ」
阪神優勝と、というのだ。
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