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レーヴァティン
第二百五十九話 ヴェネツィアに向かう中でその一

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               第二百五十九話  ヴェネツィアに向かう中で
 一行はヴェネツィアへの旅を続けていた、英雄はその中で西の浮島の景色を観てそのうえで語った。緑の畑も森も豊かで白い石とオレンジの屋根の家それに青い川を見てのことだ。
「いい場所だな、しかしな」
「ああ、この辺りはこうだけれどな」 
 共にいる久志が応えた。
「ここはそっちの浮島よりもな」
「地域の違いが大きいな」
「だからこの辺りは緑が豊かで暖かいけれどな」
「北はだな」
「もう見渡す限り雪と氷だよ」
「夏以外はか」
「ああ、しかも夜が長くてな」
 それでというのだ。
「白夜もな」
「あるな」
「そうなんだよ、そうした場所だとな」
「こうした農業もだな」
「満足に出来なくてな」
 同じ場所の中にいて向かい合って座っている英雄に話した。
「それでな」
「作物も限られているな」
「麦よりもジャガイモでな」
「寒冷でか」
「暮らしは厳しいさ」
 北の方はというのだ。
「本当にな」
「そうなんだな」
「ああ、ただな」
「それでもか」
「そっちはそっちでやってるさ」
 こう英雄に話した。
「北の方もな」
「そうなんだな」
「本当にそっちじゃジャガイモがな」 
 この作物がというのだ。
「救世主だよ。あと玉蜀黍もな」
「痩せた土地でも収穫が期待出来るからな」
「有り難いよ。それでてんさいも作らせて」
 この作物もというのだ。
「それでだよ」
「砂糖もだな」
「作らせてるよ」
「砂糖は大きいな」
「ああ、ただ本当にこの浮島はな」
 久志も景色を観ている、温暖でのどかな中にあるそれを観て英雄に対して語っていく。
「地域によってな」
「何かと違うな」
「ああ」
 そうだというのだ。
「本当にな」
「そうした場所だな」
「そしてな」
 英雄にさらに話した。
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