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TALES OF ULTRAMAN  ティガ&トリガー ウルトラの星202X
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ます」
 ダイゴが満面の笑みでそう言って青年の持ち物をアタッシュケースにつめて司令室をあとにした。その後ろ姿を眺めながら、レナは先ほど発見した青年のことを考えていた。レナには青年がどこかダイゴに似ているような気がして不思議だったのだ。それに加えて、先ほどホリイの話を聞いていた時のダイゴの表情も気がかりだった。思い詰めたような、それでいて誰にもその苦悩を打ち明けまいとする頑なな決心。戦いの日々の中で何度か目にしてきた表情だった。
「大丈夫かな、ダイゴ」
 自分でも気が付かないうちに何気なくつぶやいていると、肩に手が添えられるのに気が付いた。見ると、イルマが言葉なくうなずいている。彼を信じると隊長も決めたのだ。そう考えると、いくらか心に巣食った不安が和らいだ。

 青年は頑丈なセキュリティのもとで保護されていた。というよりも、言葉を選ばないのであれば監視されていたということになるのだが。ダイゴが事情聴取のための小さな部屋に入ると、青年は今一つ状況がわかっていないのか、座っていたパイプ椅子から立ち上がってにこやかにダイゴを迎えた。
「ああ、ダイゴさん、でしたっけ?今さっきTPU、じゃなかった、TPCの隊員さんとずっと話してたんですけど、僕お腹空いちゃって」
 何一つ知らない世界に迷い込んだかもしれないというのに、ここまであっけからんとしていられるとは。大した度胸だとダイゴは内心驚いた。
「誰かに言ってくれればルームサービスを呼んだのに」
 ダイゴがそう言うと、ケンゴはダイゴの後ろ、部屋の入り口近くで控える監視の隊員たちに聞こえないように声を潜めた。
「皆、怖い顔して色々聞いてくるから言い出せなくて」
 これにはダイゴもとうとう思わず笑い出してしまった。
「そっか。何か食べたいものとか、ある?もちろんこの世界での食べ物だけど」
 すると、青年はまた満面の笑みで答えた。
「この世界で一番おいしいラーメン屋とかってありますか?」
「この世界で一番おいしいラーメン屋?」
 異世界から来た人間にしては随分と庶民的なことを言うものだから、ダイゴは拍子抜けしそうになった。
「そうだな、醤油ラーメンならメトロポリスの裏通りにある『バラサバラサ』とかがいいかも。あ、あと豚骨なら『ブラックスターラーメン』かなあ。でもあそこあちこちに移転しているし。それから――」
 そこまで話したあとで「あ、いけない」と声を漏らしてダイゴは青年を見た。食べ物の話になるとつい話が長くなる。この間もレナに呆れられたばかりだ。それに、だ。
「連れていってあげたいのは山々なんだけどね。今の状況だと難しいかなあ」
 ダイゴがそう言うと、青年はきまずそうな笑みを浮かべながら
「やっぱり、そうですよね」
 と答えた。
「あ、でもここのフードコートのラーメンも絶品だから。
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