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TALES OF ULTRAMAN  ティガ&トリガー ウルトラの星202X
TALES OF ULTRAMAN  ティガ&トリガー ウルトラの星202X
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と母親が驚きを浮かべた。駄目だ、火星暮らしが長いとこういうことで困るんだよなあ。あとでPDI(通信端末)で検索しておこう、とケンゴは考えながら今度は子供たちに訊いた。
「その男の人はなんか言ってた?」
 すると、花を手にした女の子が答えた。
「怪獣のいるところ教えてほしいって」
 怪獣?とケンゴは驚いて訊き返した。他には何か言っていた?と訊くと、女の子は思い出そうとして口をつぐんでいた。すると、少し年上とみられる女の子が代わりに答えた。
「なんかね、ウルトラマンのこと嫌いそうだったよ」
 あ、そうなんだ、と少し悲し気な声を漏らすケンゴを見てその子は少し首をかしげた。
「それにしてもその花、綺麗だね」
 ケンゴは思わず、先ほどの女の子の持っていた花に目を止めた。これでもGUTSーSELECTの隊員でありながら植物学者なのだ。
「あのおじさんがくれたの」
 へえ、と声を漏らしながらケンゴは「そこまで怪しいではないのかもしれない」などと思い始めていた。ところが、その表情を見てとったのか母親の一人が眉をしかめた。
「ちょっとあんた、真剣にやってよ。町の安全を守るのがあんたたちの仕事でしょ」
「それはそうですけど」とこぼしながら、やっぱりこれは警察の仕事じゃないでしょうか、とケンゴは言いかけた。が、母親たちの不審と憤怒の入り混じった一瞥を受けて言葉を飲み込むことにした。

「お前、それは警察の仕事だろ」
 端末の画面に映し出されるアキトの顔が予想通りの呆れ顔だったので、ケンゴは精一杯笑顔でごまかしながら返した。
「でもほら、みんな困ってたし。それに、どうせパトロールするんだからさ」
 そう言って、町内をしばらく巡回してみたものの、怪しく見えるような男の姿は見受けられらなかった。
「それ、お前があんまり人を怪しんでないだけだろ」
 話を聞いたアキトがさらに溜息をつく。
「なんかね、チャップリンとかいう映画に出ている人によく似た格好してるって言われたんだけどよくわかんなくて。アキト、知っている?」
 はあ?とアキトはさらに呆れた声を上げた。
「お前、チャップリンの名前ぐらいは知ってるだろ。教科書にも載ってたぞ」
「いやあ、僕歴史苦手なんだよね」
 と言うと、アキトは通信画面からとうとうそっぽを向いてしまった。
「だからアキト、悪いんだけどチャップリンのデータとかあったら送って欲しいんだ」
 ケンゴが画面の前で手を合わせてお願い、と懇願すると
「そのくらい自分で調べろ」
 と言って通信は切れてしまった。
 なんだよお、とこぼしながらケンゴは途方に暮れて辺りを見回した。いくらケンゴに警戒心が薄い傾向があるとはいっても実際昼日中でさえ目立つような格好をしている人もいない。外で遊びまわる子供たち、忙しそうに働くサラリーマン
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