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TALES OF ULTRAMAN  ティガ&トリガー ウルトラの星202X
TALES OF ULTRAMAN  ティガ&トリガー ウルトラの星202X
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切ってその場から逃げだした。

 マナカ・ケンゴが市街地をパトロールしていたところ、公園から息を切らして通りに出てきた子供たちの母親が二人、こちらへ駆け寄ってくる。
「ちょっと、あなたGUTSーSELECTの隊員さんでしょ?」
 GUTSーSELECT。シズマ財団によって設営された地球平和同盟TPUの中の精鋭チーム。ケンゴがまとう白地に赤と黒のストライプがあしらわれた隊員服がチームに属する証だった。
「あ、はい」
 ケンゴのあまりの屈託のない返事と見た目の若さで母親たちは顔を見合わせた。本当にこの男だGUTSーSELECTの隊員?この男で本当に大丈夫か?が、すぐに一人が彼の腕を掴んで言った。
「ちょっと来て、公園に変な男がいるの」
 彼女たちは勢いよくケンゴを公園まで引っ張り込む。
「ちょっと待って、わかりましたから」
 そんなに引っ張らないで、という声も無我夢中の母親たちには届いていない様子だった。広々とした公園では滑り台のすぐ側で子供たちが何人か集まって人だかりが出来ていた。その中に他の母親たちも混じっていて、ケンゴと二人の母親を目にすると、
「逃げてっちゃったわよ」
 と声を上げた。一方、子供たちはケンゴの制服を目にするや、あっという間に彼を取り囲んでしまった。
「すごい、GUTSーSELECTだあ」
「本物?お兄ちゃん、本物?」
「すごい、銃持ってる。かっこいい」
 子供たちは興奮して装備に手を触れようとするので、ケンゴは慌てて身をかわした。
「待って、待って。ごめんね。これには触っちゃいけないんだ」
 なんだ、つまんないの、と子供たちが口々に言うのでケンゴはばつが悪くなった。 
 それから、気を取り直して子供たちと母親を順に見て尋ねた。
「あの怪しい男っていうのは――?」
「さっきまでここにいたんだけどね、どっかいっちゃったのよ」
 母親の一人がそう言って辺りを見回した。母親たちが怯えるような不審な姿をした男の姿は公園のどこにも見られない。ケンゴは男の様子について詳しく尋ねることにした。
「男の服装とか、何か特徴は覚えていないですか」
 すると、ケンゴのすぐ近くの男の子がすぐさま口を開いた。
「映画に出てくる人みたいだった」
 映画?と訊き返すと、男の子はうなずく。
「お祖父ちゃんが見てた昔の映画。帽子と杖の、髭の人」
 思わずケンゴは首をかしげそうになった。映画と言えば、動物映画やアニメ―ションの家族向けばかりみているのでそこまで詳しくないし、この前だってアキトにお前の好みはおこちゃまかと笑われたくらいだ。ケンゴの困惑を見ていた、その子の母親とみられる女性がすぐさま横から説明してくれた。
「多分、チャップリンです。チャールズ・チャップリン」
 チャップリン?と訊き返すと、え、知らないの?
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