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TALES OF ULTRAMAN  ティガ&トリガー ウルトラの星202X
TALES OF ULTRAMAN  ティガ&トリガー ウルトラの星202X
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 町は、いつもと変わらず平和だった。
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん」
 少女が振り向くと、男がうやうやしく身をかがめながら花を差し出した。ビロードのスーツを着て今時にはあまり見られない山高帽を被った上に顔を白塗りにしている。おまけに大きすぎるトランクと雨も降っていないのに傘をもう片方の手にまとめて手にしていた。男の姿はどうしたって昼日中の公園で目立っていた。彼は子供たちが遊んでいるところへ忽然とやってきて、不意に少女に話しかけてきたのである。これにはそばで遊んでいた他の子供たちも目をとられていた。一方で、小さな子供たちを連れてきている母親たちはいくらか離れたところにいるのだが、母親同士の井戸端会議に少しばかり気をとられすぎていた。。
「お嬢ちゃんかわいいからこれあげる。だから、おじさんに教えて欲しいんだ」
 なあに?と少女が訊くと、男はカールさせた髭をいじりながらにんまりと笑った。
「怪獣の居場所。この世界にも怪獣、一杯出てきたでしょ?どこ行ったら怪獣に会えるのか教えて欲しいんだ」
 すると、少女の近くにいた男の子が口を開く。
「怪獣なら、ウルトラマントリガーがやっつけちゃったよ」
 男は「ウルトラマン」と聴いて苦々しげな顔を浮かべた。
「この世界にもウルトラマンがいるのかい」
 男が尋ねると、興味本位で何人か近寄ってきた子供たちの中から声が上がった。
「トリガーだけじゃないよ。ウルトラマンゼットとか、ウルトラマンリブットとか、トリガーダークとか」
 男の子が半ばはしゃいで列挙すると女の子たちの中から
「トリガーダーク、私は怖いから嫌」
 という声も上がった。すると、それに対して
「そんなことないよ、この前だって黒くて悪いトリガーやっつけてくれたもん」
 という声が上がり、子供たちが騒ぎ出す。いかん、これは収集がつかなくなってきた。その時、また別の子供が男に話しかけてきた。
「それだけじゃないよ。二年位前にキリエロイドって怖い宇宙人が来た時に、トリガーと一緒に戦っているウルトラマンを見たよ」
 僕も見た、という声が上がり、その子はこう口にした。
「なんかね、ティガっていう名前のウルトラマンらしいよ」
 男の顔色はすぐさま真っ白になった。というより、白塗りの顔が青みを帯びた、とうべきか。ウルトラマンティガがこの世界にもいる?いかんいかん、早くこんな世界は抜け出さなければ。
 子供たちが男の存在を忘れてどのウルトラマンが一番強いだの格好いいだのとざわめいているのをいいことに、男はそろそろとその場をあとにした。が、異変に気が付いてかけてきた子供たちの母親の一人が腕を捕まえて男に詰め寄った。
「ちょっと、あなたなんなんですか?うちの子に何かしてませんよね?」
 男は崩れそうな愛想笑いを浮かべて不意を突いたあと、母親の手を振り
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