第二章
[8]前話
「師星団君!?」
「あれっ、川崎さん?」
「今は北川よ、主人よ」
左手にいる夫に顔を向けて話した。
「結婚したのよ」
「そうなんだ、実は俺もさ」
清楚華憐でもの静かといった感じの長い茶色の髪の日本人離れした隣の女性を見て話した。
「結婚してて今日は里帰りしてるんだ」
「そうなの」
「それで子供達親に預けて今はさ」
「ここでお買いものしてるのね」
「女房と一緒にな」
こう未来に話した。
「何しろ四人もいるんだよ、一番上の子が四歳で」
「四人なの」
「上が男の子で後は女の子だよ」
師星は笑って話した。
「もう大変だよ」
「小さい子が四人だと」
「毎日戦争だよ、それでそっちも」
「ええ、もう少ししたら九ヶ月でね」
未来は自分のお腹のことを意識しながら答えた。
「そろそろよ」
「そうなんだ」
「男の子よ」
未来は自分からこのことも話した。
「かなり大きな子らしいわ」
「そんなになんだ」
「そうなの、あと少しだから」
少し話をしてだった。
お互いに別れた、そして未来は待合場所で休みながらだった。
夫を待ち夫が買いものを終えて戻るとだった。
車に一緒に戻って乗って家に帰った、そして家に着くと夫に笑顔で話した。
「中学の時クラスメイトで」
「それでなんだ」
「久し振りに会ったけれど」
「元気そうだね」
「ええ、けれど四人も子供がいるなんて」
未来はこのことに驚きを隠せない顔で述べた。
「凄いわね」
「今だとね」
「そうね、随分変わったわね」
中学時代の彼と今さっき出会った彼の姿をそれぞれ頭の中で見比べて話した。
「外見も」
「そうなんだ」
「ええ、お互い大人になったのね」
「今度お母さんになるし」
「変わるのも当然ね」
「そうだよ、誰だって変わるよ」
北川は未来に笑って話した。
「歳月が経てばね」
「そういうことね」
「うん、じゃああと少しでお母さんになるし」
「頑張っていくわ」
未来は夫に笑顔で応えた、そうしてだった。
未来は家の中でも休んだ、だがあの彼と中学時代付き合っていたことは内緒だった。だがもう彼の気持ちは今の奥さんと子供達に向かっていてだ。
自分も夫とこれから生まれてくる子供のことばかり考えていることが自覚出来ていた、お互い過去のことでどうでもよくなっているとわかった。
それでもう彼のことは忘れて夫と子供が生まれたらどうするのかを話した、そのことでもう頭は一杯になり過去は一欠片もなかった。
元カレの今 完
2022・8・28
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