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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第123話:夏の日差しの下で
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目の前に大きく広がるのは青い空と白い砂浜、そしてどこまでも続く大海原。
キャロル達の攻撃を退けた颯人達は、政府保有のビーチに来ていた。その名目は、戦力を新たにした響達の特訓。新たな力を体に馴染ませる為、心身の鍛錬の為というものだった。
だが実際に彼ら彼女らがやっている事と言えば…………
「オララララララァッ!!」
「ヌオォォォォォォッ!!」
「頑張れ奏さ〜ん!」
「奏〜! もう少しよ〜!」
「明星 颯人! そのまま逃げ切れ!」
「奏さんすぐそこまで来てますよ!」
全力で海水をかく颯人と奏。沖の方にある岩まで泳ぎ戻ってきた2人は、砂浜に上がるとそこに立ててある一本の旗に向けて猛ダッシュした。ほぼ真横に並んだ2人は、同じタイミングで旗に向けて飛び込み、僅差で奏が旗を掴み取った。
「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「だぁぁぁぁぁ!? くっそ、あと少しだったのに――!!」
掴んだ旗を掲げて勝鬨を上げる奏に対し、颯人は心底悔しそうに熱い砂浜を殴っている。
…………とまぁ、こんな感じで、特訓とは名ばかりで彼らは夏の海を堪能していた。
時には互いに海水を掛け合い、砂で城を作り、浮き輪などに揺られて心と体をリフレッシュさせていた。まぁ弦十郎に言わせれば、こう言った遊びも精神鍛錬の一種という事なのだろう。締め付けるだけでなく、時には緩める事も心の成長には必要不可欠な事であった。
この場に居るのは奏を始めとした装者7人に加えて魔法使い3人。そしてエルフナインに、セレナまでもが居た。
「私まで居ても良いんでしょうか?」
「気にしなくていいのよセレナ。エルフナインに加えて未来まで居るのだから、セレナだってここに居ていいのよ」
「そうだぞ。それに、セレナにも向かうよう言ったのは風鳴司令だ。司令が行けと言ったなら何も気にする必要はない」
実際セレナや未来が居るのは弦十郎の計らいによるものでもあった。どちらもS.O.N.G.の活動に深く関わっており、戦闘には出ないながらも装者や魔法使い達にとって大事な仲間と言える存在である。そんな彼女らを、除け者にするようなことを弦十郎は絶対にしない。
姉と恋人の2人に言われ、セレナも肩の荷が下りたと言うか、心のつっかえが取れたのか肩から力を抜き自然な笑みを浮かべた。
するとそれを待っていたかのように、切歌と調がやって来てセレナの手を引いた。
「セレナセレナ! セレナも一緒に遊ぶデスよ!」
「お城、もっと大きなの作ろ」
「2人とも……はい!」
子供2人に手を引かれて、セレナは楽しそうについて行く。その様子を姉であるマリアと、恋人であるガルドが微笑みながら見ていた。
「……良かった。セレナも、、あんな風に笑えるようになって」
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