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渦巻く滄海 紅き空 【下】
六十三 開眼
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神農に取って代わった砦の主は苦笑を口許に湛える。
ナルトに連れられて、一見、寂れた遺跡に連れられて怪訝な顔つきをしていた彼らは三者三様、それぞれ別の反応を見せていた。

「こんな無人の砦があるとはな…実にもったいない。金になるだろうに」
「なかなかしっかりした設備じゃねぇか。傀儡作りが捗りそうだ」

かつては空忍がアジトにしていた王の都の砦。
角都とサソリの砦の感想を耳にして、デイダラが唇を尖らせた。


「そうかァ?オイラは暑くて死にそうだぜ、うん!旦那も角都もなんでそんな平気な顔してんだ」
「「傀儡だからな」」


熱帯地帯故に汗をダラダラ流すデイダラに反して涼しい顔のサソリと角都は口をそろえた。


「いや、しかし。汗をかかなくて良いのは助かるな」
「そうだろう。俺と坊に感謝しろよ、角都」

命を持たぬ傀儡。
十年以上も前、消息不明となっていた三代目風影。
八方手を尽くしたが見つからなかった、かつて歴代最強と謳われた砂隠れの里長。


その三代目風影の傀儡人形に心臓を埋め込まれた角都は何度目かのサソリの謝礼の催促に辟易する。
そして今現在、この寂れた砦の主であるナルトへ問いを投げた。

話題を変える為か、それとも主題に早く取り組む為か。
どちらも目的であろう問いかけ。


「それで?」


かつて神農が座っていた椅子。
変わり果てた玉座に腰掛けるナルトに、角都は問うた。






「俺達に死の宣告を下した訳を聞かせてもらおうか」

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