第9章 解散編
第44話 爾後
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そうですか…やはり関係各所への伝達は速いものですね…」
アレンはヒスイの言葉に小さく笑って見せたが、ヒスイの表情が明るくなることはなかった。
「…つまり、一人で戦いに臨むと…そう仰られるのですね…」
「…はい、その通りです」
ヒスイは膝の上のスカートをぎゅっと握りしめながら辛そうに言葉を発する。アレンはそんなヒスイの言葉に短く返したが、ヒスイがバッと急に立ち上がったことで些少の驚きを見せる。
「ッ!いけません!!三天黒龍をたった一人で討伐されるなど…無茶ですわ!!」
「姫様…」
ヒスイの悲鳴にも似た怒号に、思わずアルカディオスが目を見開いて小さく呟く。
「…確かに、厳しい戦いにはなるでしょう…ですが、私は必ずや無事に戻って参ります…。そして、フェアリーテイルも必ずや復活を果たします。ですから、信じて待っては頂けませんでしょうか?」
アレンの小さく懇願するような言葉に、ヒスイは目尻に涙を浮かべていた。そして、両の目を強く閉じ、苦悶の表情を浮かべたかと思うと、ゆっくりとその身を椅子へと預ける。
「…もう、何を言っても無駄なようですね…」
「…ご心配をおかけし、申し訳ない…」
ヒスイはどこか諦めたように小さく声を発した。そして、アレンの言葉を聞くと、何かを決心したかのようにキリっとした目でアレンを見つめる。
「でしたら…私からもお伝えしたいことが…お願いがございます」
「…何でしょうか?」
ヒスイの何かを決意した様子に、アレンは真剣な眼差しを向ける。ヒスイはそんなアレンを見て、更に顔を赤らめるが、それを振り払うかのように震える唇を開いた。
「…三天黒龍を倒し、アルバレストの緊張も解けた暁には…私と婚約して頂きたく…存じます…」
ヒスイの小さく甘い声に、アレンだけでなく、国王達も大きく目を見開く。未だ状況がつかめていないアレンは、目を大きく見開いていた。そんな様子を見てか知らずか、ヒスイは続けて言葉を発した。
「…今ここで返事をしていただく必要はありません…。暫しお考えいただきたいのです…。私との…婚約を…。私は、アレン様を心の底からお慕い申し上げております」
ヒスイはそう言い放ち、赤らめた顔で、屈託のない笑顔をアレンへと向ける。ようやく平常心を取り戻し、状況を掴めたアレンが狼狽して言葉を漏らす。
「ヒ、ヒスイ王女…一体何を…そもそも私は一介の魔導士なわけで…そんな私が一国の姫と…っ!」
アレンは先のヒスイの発言の内容を理解し、なんとか言葉を放ったが、ヒスイの真剣で恥じらいを持った目と表情に言葉を止める。それが冗談でもなんでもなく、心の底からの思いなのだと悟ったからだ。
「…わかりました。考えさせて頂きます…。ですが、あまり期待しないでくださいませ…」
「…ふふっ!あなたが無事に帰ってきた暁には、必ずやあなたを惚れさせて
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