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石を食べていた犬
第一章

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                石を食べていた犬
 カルフォルニア州のサン=ジャッキンド砂漠においてだ。
 焦げ茶色の毛で腹が白い一匹の雄のピットブルが保護された、ロッキーと名付けられたこの犬はオレゴン州のある動物保護施設に連れて来られたが。
 この施設を創設して理事長でもあるリーズル=ウィルハートはロッキーの話を聞いてスタッフに苦渋の顔で言った。
「それはちょっとね」
「ないですね」
「相当お腹が空いていたのね」
「そうですね、幾ら何でもです」
「石を食べるなんて」 
 黒いセットした長い髪の毛に青い目の中年の女性だ、肉付きもいい。その彼女がスタッフに言うのだった。
「そうはないから」
「そうですね」
「ええ、けれどね」
「ここに来たからにはですね」
「私達が責任を以てね」
 そうしてと言うのだった。
「幸せにしましょう」
「はい、ここに来た子は皆そうなってもらいます」
「それなら彼もよ」
 ロッキーもというのだ。
「是非ね」
「そうなってもらいましょう」
「ちゃんとしたご飯をあげて」
「もう石なぞ食べない様にして」
「そうして素敵な家族を紹介しましょう」
 こう話してだった。
 ウィルハートはロッキーにいつもたらふく飲んで食べられる様にしてだった。
 そのうえで飼い主も探したが。
 リッチとダイアン、ケアリー家の初老の白髪の白人の夫婦が彼を引き取りたいと申し出た、この二人は一緒にだった。
 黒いフレンチブルドッグとピットブルのミックスの雄犬を連れて来ていた、ウィルハートはその犬を見て青い目の夫婦に話した。
「ハンクですね」
「はい、以前ここにいましたね」
 夫がウィルハートに応えた。
「そうでしたね」
「ここにいた子は皆覚えていますから」
 ウィルハートは笑顔で答えた。
「ですから」
「それで、ですね」
「覚えています、可愛がってくれていますね」 
 ハンクの毛並みと表情を見て言った、見れば舌を出して尻尾を左右に強く振っていて飼い主達に寄り添っている。
「有り難うございます」
「こちらこそ家族を有り難うございます、ただ」
 妻も言ってきた。
「お話を聞きまして」
「ロッキーのことをですね」
「それで今回お邪魔しましたが」
「あの子も家族にしてくれますか」
「いい子ですね」
「はい、人にも犬にもフレンドリーで優しいです」
 ウィルハートは笑顔で話した。
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