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家の中に入れて欲しい
第一章

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               家の中に入れて欲しい
アメリカジョージア州ウォーカー郡に住むトム=グラハムは農業を営んでいる。大きな西瓜畑を持っている。丸々と太ったアフリカ系の男だ。
 彼は茶色の雌の子山羊のメリーと白黒の雌の鶏マリーを飼っている、可愛がっているが家には入れず彼女達の為の小屋に入れている。
 だがこの日家の庭で遊んでいた彼女達がだ。
「メェ〜〜〜」
「コココ」
「家に入りたいみたいよ」
 妻のキャスリン夫の三分の一位の大きさで黒髪を後ろで束ねているアフリカ系の中年女性が言ってきた。
「どうもね」
「おいおい、駄目だよ」
 夫は妻に笑って返した。
「あの娘達は小屋で飼って」
「お家には入れないっていうのね」
「そうして飼う決まりじゃないか」
 だからだというのだ。
「そうだね」
「けれど随分入りたいみたいよ」
「何でかな」 
 見れば窓のところでそうした顔で鳴いている、マリーはメリーの背中にいる。
「今日は」
「私達がお家の中にいるからかしら」
 妻は夫に少し考えてから言った。
「それでかしら」
「そうなのかな、随分入りたそうだし」
「入れてあげる?」
「仕方ないな」
 夫も遂に根負けしてだった。
 メリーとマリーを家に入れた、一匹と一羽は嬉しそうに家の中に入ったがグラハムは彼女達に言った。
「ソファーに上がったら駄目だよ」
「メェ〜〜〜」
「コココ」
 だが彼女達はだった。
 リビングのソファー上がるなと今言ったそこにだった。
 上がって寝はじめた、夫はそれを見て苦笑いになった。
「駄目だって言ったのに」
「もう寝てるわね」
 妻は普通の笑顔で言った。
「メリーもマリーも」
「気持ちよさそうにね、仕方ないわね」
「こうなったらね」
 寝ている一匹と一羽を見て話した、夫婦はこの時から彼女達を家に入れる様になった。そしてこのことをネットで話したが。
 その話を読んでだ、サウジアラビアで店を経営しているラヤン=アルガマディ痩せて浅黒い肌に彫のある顔で黒髪をセットし口髭を生やした彼は。
 自宅とつながっている店に入って仕事をしている時に若い店員に言われた。
「店長、店の玄関のところに猫がいます」
「餌ねだってきたか?何かあげろ」
 アルガマディは店員にこう返した。
「猫は大事にしないとな」
「ムスリムならですね」
「預言者もそうされてたしな」 
 ムハンマドもというのだ。
「だからな」
「いえ、何か中に入れて欲しい感じです」
 店員はアルガマディに答えた。
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