第二章
[8]前話
「ちょっと考えるわ」
「そうしてくれ」
「他の人からも聞いてね」
二人は真弓に強い声で告げた、真弓も二人が嘘を吐いていないと思ってだ。
彼と彼が通っていた高校のことを聞いた、そして。
二人を喫茶店に呼んでだ、こう言った。
「別れたわ、その時殺すぞって言われたけれど」
「それでもか」
「別れたのね」
「お父さんとお母さんが警察にお話してね」
そうしてというのだ。
「弁護士さんのこともお話に出してくれて」
「それでか」
「別れられたのね」
「ええ、お話を聞けば聞く程ね」
まさにというのだ。
「酷い人だったし見ていたら物凄く下品で粗暴で無教養で知性もなかったから」
「それで有名なんだよ」
「もう札付きなのよ、地元で」
二人もその通りだと答えた。
「あの時スマホの画像見て驚いたわ」
「あいつだったってな」
「そうよね。お話するのはギャンブルとか風俗とかゴシップのことばかりで」
それでというのだ。
「煙草の火をコーヒーで消したし」
「だからそうした奴なんだ」
「本当にね」
「平気で暴力振るうしな」
「素行の悪さは折り紙付きなのよ」
「だから私も別れたけれど。キスどころか手をつないでもいなかったから」
まだとだ、真弓は言った。
「そのことが不幸中の幸いだったわ」
「本当によかったな」
「そうしたことする前で」
「これからは相手の人をよく見てね」
今度は反省する顔で語った。
「決めるわ」
「そうしろよ」
「これからはね」
「お付き合いする人はね、二人みたいな人達だけじゃないから」
「まあ俺達も褒められたものじゃないけれどな」
「少なくともあの人よりはましね」
二人は真弓の今の言葉に少し照れ臭そうに笑って応えた。
「流石に」
「あいつは最低だからな」
「ううん、私に気付かせてくれたから」
真剣に心配して言ってくれてというのだ。
「二人がいてくれてよかったわ、友達でね」
「まあな、やばい奴だったからな」
「それで言っただけだけれどね」
「それでも助かったから」
有り難うとだ、こう言ってだった。
真弓はこの時から付き合う人はじっくりと見る様にした、そのうえで交際相手も見付けた。今度はまともな人間で彼女は二人にもよかったと言ってもらった。そうして幸せな恋愛を楽しんだのだった。
彼氏の正体 完
2022・8・24
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