第二章
[8]前話
「後でチェックもしような」
「文章を」
「データもな、あとデータまだ入れて欲しい分は送ってくれ」
「入力してくれるの」
「そうしておく」
「悪いわね」
こうしたやり取りもしてだった。
そしてだ、ある時は芙美子から言って来た。
「八条水産に連絡入れておいたから」
「そうしてくれたのか」
「ええ、さっきね」
「これから連絡しようと思ったんだがな」
「こっちでやっておいたわ」
「悪いな」
「いいわよ、お互い様でしょ」
芙美子は稲田に笑顔で返した。
「これ位は」
「お互い助け合ってか」
「お仕事していくのもね」
「そうか、じゃあ俺もな」
フォローするとだ、こう言うのだった。
二人で仕事をし食事も共にすることが増えていった、夜は居酒屋で飲むことも増えていった。この夜は稲田の行きつけの焼き鳥屋に入ってだった。
楽しく飲んで食べた、そしてだった。
芙美子はジョッキのビールを飲みつつ稲田に言った。
「あんたもいい店知ってるわね」
「そうだろ、お前がこの前連れて行ってくれた食堂もな」
「お昼にね」
「よかったな」
「あそこもいいでしょ」
「ああ、また行こうな」
「明日にでもね、それで今夜はね」
芙美子はさらに言った。
「ここでね」
「安くて美味いしな」
「どんどん飲んで食べて」
「楽しもうな」
二人で笑顔で話してだった。
そうして二人で仲良くそれぞれの学生時代のことを話したりもした、そのうえでお互いを知って親睦も深めた。
仕事は順調に進んでだった、それはこの仕事だけでなくだった。
別の仕事でも組んだ、そうしているうちに距離は縮まり。
二人は結婚した、それで一緒に住む様になって子供も出来たが。
結婚して二十年程起って子供も大きくなった時に芙美子は夫に話した。
「最初はただの同期だけだったのに」
「それが一緒に仕事をする様になってな」
「結婚するなんてね」
「思わなかったな」
「全くよね」
「そうだな、人生はわからないな」
「その通りよね」
こう夫に言った、二人共歳を取っているが若い頃の面影は残っている。
「同じ会社に一緒に入ったことも」
「そのことからもな」
「人間何がどうなるか」
「人生なんてわからないな」
二人で家にいる時に話した、そして子供の大学受験のことも話した。二人はもう完全に同期入社ではなく夫婦になっていた。
最初は一緒に仕事しただけなのに 完
2022・8・24
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