第二章
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上司に先に帰ることを認めてもらって日本への帰路についた、だが。
間に合うかどうかは微妙だった、国際便に乗ってまずは大阪の関西空港に向かった。そこから南海線とだった。
新幹線で名古屋に向かう、しかし式まで間に合うかはわからなかった。
それで菜月姉を色白にした風な外見の彼女は諦めていた。そのうえで純白のウェディングドレスを着てだった。
式をはじめようとしたところで。
スーツ姿の姉が場に飛び込んで来てスーツ姿で叫んできた。
「来たわよ!」
「えっ、お姉ちゃん!?」
「間に合ったわね」
「フィンランドから来てくれたの」
「私の分の仕事終わらせてね」
姉に必死の顔で言ってきた。
「来たわよ」
「嘘でしょ、あんな遠い国から」
「いやあ、間に合うかどうか心配だったけれど」
「間に合ったわよ、ギリギリで」
「じゃあ私の席紹介して」
妹に肩で息をしつつ言った。
「そうしてね」
「わかったわ、じゃあね」
妹も頷いてだった。
姉に彼女の席を紹介してもらった、そうしてだった。
彼女も列席したうえで式をはじめた、そのスピーチの時にだった。
必死に仕事を終わらせてフィンランドから駆け付けてきてくれた姉のことを話した、すると式に来ている誰もが彼女を見て拍手喝采した。式はこのことでも盛り上がった。
その式の後で菜月は葉子に家族だけになった時に笑って言った。
「もう一人の主役になってたわよ」
「いやあ、そんなつもりはなかったけれど」
葉子は菜月に笑って応えた、一家で実家で飲みながら話をしている。
「急いできただけで」
「それでよ、来てくれて嬉しかったわ」
「不可能を可能にしたわね」
「そうね、無理だと思ったわよ」
「それを何とか出来たわ、どうやら私はナポレオンさん以上ね」
葉子は笑顔でこうも言った。
「不可能を可能にしたから」
「あの人そう言って負けてしくじってだしね」
「まあ私も色々しくじってるけど」
「不可能を可能にしたし」
「ナポレオンさん以上ね」
自分で笑って話した、そのうえであらためて妹に一緒にいる両親と共におめでとうと告げた。後に彼女も結婚したがその時はこうしたこともなく平和なものだった。だが妹のお祝いの言葉でこのことが話されて幸せな思いをした。
フィンランドから帰国 完
2022・8・24
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