第二章
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「そうしましょう」
「それじゃあな」
息子も嫁も夫も頷いてだった。
鯨も食べた、そして祖母によく似た顔の孫はというと。
はじめて食べた鯨にだ、こう言った。
「美味しい」
「そうでしょ、じゃあこれからも買ってきてあげるね」
「うん、お祖母ちゃんお願いね」
「そうするわね」
孫の智ににこにことして応えた、そうしてだった。
郁恵は海のものを楽しむ日々を送っていった、海鼠を買えばコノワタも食べる。和食だけでなく中華でもイタリアンでもフレンチでもだ。
兎角海の幸を好みパエリアも好きだった。
だがそんなある日だ、嫁の黒子は家に来た宅配を見て夫に笑顔で言った。この日は休日で仕事を持っている夫婦は休みでだ。
郁恵の夫も仕事はなく家にいて孫もそうだったが郁恵はパートに出ていていなかった、その中でのことだった。
「実家から牡蠣来たわ」
「えっ、牡蠣か」
「そう、凄く沢山ね」
夫に笑顔で話した。
「そうしてきたわ」
「奥さんの実家は広島でな」
「牡蠣名物でしょ」
黒子は笑顔で話した。
「何と言っても」
「そうだよな」
「じゃあ今日は牡蠣フライね」
「それ作るか」
「そうしましょう、お義母さんも喜ぶわ」
「そうだよな、というかお袋がな」
笑顔でだ、夫は言った。
「牡蠣もな」
「大好きよね、やっぱり」
「それでこの前な」
夫はさらに言った。
「牡蠣安部法大のお店行ってだよ」
「牡蠣召し上がられたのね」
「生もフライも焼いたのもな」
それこそ何でもというのだ。
「食ったらしいな」
「それはいいわね」
「そうだな、じゃあ今日はな」
「牡蠣フライね」
「皆でな」
笑顔でこう話した、そしてだった。
早速調理にかかった、そのうえで夕食前に戻ってきた郁恵に今夜のメニューのことを話したのだが。
郁恵は眉を曇らせて暗い顔になって答えた。
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