第9章 解散編
第42話 翹望
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んだから、そろそろ起きな…スターク」
「…わーたよ、ったく…」
スタークと呼ばれた男は、ゆっくりと身体を起こして立ち上がる。
「…リリネット…お前は…」
スタークは、少女の名前を小さく呟く。リリネットと呼ばれた少女は、そんなスタークの言葉を聞き逃さず、振り向いて答える。
「なにさ…」
「…いや、なんでもねえ…」
スタークは、言いかけていた言葉をとめ、気怠そうにリリネットと一緒に外へと向かった。
クリスマス、そしてアレンにとって最も苦しい記憶が蘇る期間を終え、早2週間が経とうとしていた。あの日、アレンとウルキオラが思わぬ会合を果たした日、アレンがまさかのエルザの唇を奪うという行為に、最初の3日間程、エルザはまともにアレンの顔を見ることも出来なければ、会話することもできない様子を見せていた。だが、それとは裏腹に、いつものように声を掛けてくるアレンに、エルザは「私の唇を奪っておいて、なんでそんなにいつも通りに生活できるんだ!」と激高したのは言うまでもない。ウルティアやカグラなど、アレンに恋心を抱くものは、「なんでキスしたの!!」とアレンに詰め寄ることになるが、「え…、いや。その場の雰囲気で…」というアレンの言葉に、むぅ…と不満を露にする。さらに、ミラが「なら私ともチューして!!」とアレンに詰め寄るが、アレンに断られてしまったことで、更に不満を募らせることとなっていた。
さて、だが、そんな様相も2週間も経つと落ち着きを取り戻し、それぞれ思うところはあれど、少しずつ平常心を取り戻していた。
そんな折、ミラが一件の奇妙な依頼書を発見する。ミラは怪訝そうにその依頼を眺めていると、エルザが疑問をもって声を掛けてきた。
「どうした?ミラ?」
「エルザ…いや、珍しい依頼だなと思って…」
ミラとエルザの会話に、ナツが割り込んでくる。
「どんな依頼なんだ?」
「うん…竜の調査と情報を求むって依頼なの…」
ミラの言葉に、ナツが大きく目を見開き、ミラからその依頼書を奪い取る。
「おい、ナツ…」
「竜…ドラゴンの場所かなんかか!!」
エルザはナツの行動を咎めようとしたが、すぐにナツの心情を察し、言葉を詰まらせる。
「ミラッ!この依頼、俺が引き受ける!」
「ちょっと、ナツ!ほんき?もしかしたら、強力な竜かもしれないわよ!」
ナツの言葉に、ミラは怒ったように言葉を放つ。
「関係ねえ!黒竜について、何か重要な手掛かりが見つかるかもしれねえ!」
「気持ちはわかるけど、少し冷静になって…。その依頼、ちょっと変なのよ」
ナツの気持ちを抑えるようにして、ミラは語り掛ける。
「変?竜について調べてくれっていうのが変な内容、という意味ではないのか?」
「それもあるんだけど、依頼書の一番下を見て」
エルザの疑問に、ミラはゆっくりと言葉を放つ。そして
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