第9章 解散編
第42話 翹望
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黒く塗りつぶされたような様相を見せていた。
「…で、うまくいったのか?」
「あったりまえよ!フェアリーテイルにきっちり依頼出しといた」
少女のそんな人間離れした姿に、特に驚きを見せなかった男は、布団を剥いでゆっくちと起き上がる。すると、その男胸の中心には少女と同じようにぽっかりと黒い穴が見え、首元には猛獣の下あごを思わせる白い仮面が見られる。
その姿から、先の少女と男が、ウルキオラと同じ種族である破面であることが見て取れた。
「そんじゃ、あとは待つだけってことだな…」
「でもさ、なんでわざわざこの近くの廃教会を選んだわけ?ここに来てもらう方が楽じゃない?」
男はそう言ってソファに思いっきり身体を預けながら言葉を発すると、少女が疑問をぶつけるようにして呟く。
「もし戦闘にでもなったら、めちゃくちゃになるだろうが…」
「あー、それもそうか…。確か、ウルキオラとやり合ったんだっけ?えーと…ア…なんだっけ?」
少女は噂の絶えない男の名前を思い出そうとするが、中々記憶を探れずにうーん、と唸って見せる。そんな症状の様子を見かねて、男が口を開いた。
「アレンだ…聖十大魔道士序列特位、竜の天敵、アレン・イーグル。この世界じゃあのアレンと同格の力を持つ奴って認識だが、俺からしたらあのウルキオラと互角にやり合ったって方が驚きだ…」
「ま、人間だしね…でも、評議院が言うんだから間違いないでしょ」
先日、評議院が大陸全土に流した情報を思い起こす。アレンという男は、人間の身でありながらウルキオラと互角の戦いを見せ、更には虚化という改造を受けてなお、それをその身に抑え込んで見せたというのだ。その情報を聞いた2人が、驚いたのは無理もない。
「しっかし、あいつも無茶するわ…。アレンやフェアリーテイルとは完全に対立してんでしょ?」
「ま、ウルキオラだしな…」
男は怠そうに髪を掻くと、少し真剣な面持ちを見せる。
「まあ、これで運よくアレン本人が来てくれれば話は早いんだが…」
男の言葉に、少女は首を傾げて怪訝な表情を浮かべる。
「なら、フェアリーテイル限定じゃなくて、アレン指名にすればよかったんじゃない?」
「アレン指名の依頼は評議院の審査が入るんだと…それに、通ったとしても請け負われるのは遠い未来になるそうだ」
少女はなるほどー、といった雰囲気を見せるが、またしても一つの疑問が生じる。
「だったらさ…あんたが直接フェアリーテイルまで行けばよかったんじゃない?」
少女のもっともな意見に、男は返す言葉がないように目線を反らす。
「…それはめんどくせー…」
男の言葉に、少女は呆れたように大きくため息をつく。
「全く…ウルキオラといいあんたといい…ほんと、仕方ないんだから…」
少女は不満そうな表情を見せ、再度口を開く。
「とりあえず、もう昼過ぎな
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