第9章 解散編
第41話 聖夜
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して、ふっと笑い、下を俯く。
「まったく…あの2人は…。だが、そうか…聞いたんだな…」
アレンの言葉に、皆は申し訳なさそうに視線を下へと移す。
「幻滅したか…?」
アレンの言葉に、皆はバッと顔を上げて目を見開く。
「な、なにを…」
ウェンディは酷く困惑した様子で口を開く。アレンはその問いに答えるようにして、後ろを振り向く。
「竜の天敵、大陸最強、妖精王…色々と呼ばれちゃいるが…俺は愛する家族一人、女一人守れねー、クズだってことさ…」
アレンの言葉に、皆は更に目を大きく見開く。これほどまでにアレンが弱音を、自身を貶めるような言葉を吐いたことがない分、その驚きは想定以上であった。だが、その言葉を否定するようにして、エルザがアレンへと駆け、その背中に思いっきり抱き着く。
「ッ!エルザっ!!」
アレンは急に抱き着かれたことで、困惑を見せる。
「クズじゃない…アレンは…クズじゃない…」
「…エルザ…」
エルザの消え入るような声に、アレンは思わず息を漏らす。
「私には、アレンの苦しみ本当の意味で理解することはできない…だが、大切なものを失った時の苦しみは…知っている…。アレンを失ったと思ったあの時の苦しみは…思いだしたくもない…」
エルザの言葉に、アレンだけでなく、その場にいるもの全員が同意の意を示す。
「アレンの心の傷を…私たちが推し量ることができるとは思っていない…だが…私はその悲しみを埋めるのは…仲間だと信じている」
エルザの言葉に、アレンは、ゆっくりとエルザへと向き直る。アレンと至近距離で抱きしめあうかの様相になり、エルザは少しずつ赤面していく。
「…ありがとう」
アレンは短く、小さく答えた。その表情には、どこか平常心を取り戻したかのような様相が伺え、エルザは些少の安心を漏らす。
「わ…私はいつでもアレンの…ッ!!!」
エルザは気恥ずかしそうにアレンへと言葉を掛けようとするが、それはある衝撃的な事柄に、遮られることになった。
なんと、アレンがエルザの唇を奪うようにキスをしたのだ。まさかの事態に、エルザは目を思いっきり開き、瞳孔が上下左右へと動き回る。後ろにいたナツ達も目を丸くして驚きを見せる。特に、ミラ、カグラ、ウルティア、ウェンディの驚く様は尋常ではなかった。
暫くして、アレンはエルザの唇からゆっくりと自身の唇を剥がす。
「あ…ああ…///」
エルザは一体何が起こったのか、理解できないと言った様子であった。
「わり、思わずキスしちまった…許せ、エルザ」
アレンはそんなエルザの頭を撫でながら、ケラっと笑って見せた。
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