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俺様勇者と武闘家日記
第2部
ランシール
試練の先に
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す!! ユウリさんが、着ぐるみだけじゃキャラが薄すぎるとおっしゃってたんで、自分なりに色々考えたんです!」
「どういうことです?」
 訝しむ私の問いに、へそにゃんは恥ずかしそうに言い訳すると、今度は自信なさげに話を続ける。
「……実はミオさんが地球のへそに挑まれている間、ユウリさんに相談してみたんです。ここランシールに必要なのは何かを」
「な……なんでユウリに!?」
「世界の平和を守る勇者さんなら、きっと何かいいアイデアをくれると思ったんです」
 いやいや、いくら人々を救うと言っても、勇者に町の運営について相談するのはお門違いではないだろうか。けれどここでへそにゃんにそんなことを言うのもあんまりなので、私は言葉を飲み込んだ。
「ユウリさんは、ボクたちの話を親身に聞いてくださったんです。そして、今の我々に足りないものを色々と教えてくださいました」
 ユウリが親身に話を聞く姿があまり想像つかないが、へそにゃんの目にはそう映ったんだろう。とにかくへそにゃんがユウリに教わった、観光地としてのランシールの問題点は、三つだという。
 まず一つ目は、知名度。昔は有名な修行場だったが、今では私やユウリを含め、若い世代は知らない人が多い。修行場としてではなく観光地としてこの神殿を一般に広めたいのなら、もっと色々な場所で宣伝をすべきだという。
 だからといって、ただ歴史ある神殿を一般公開するだけでは、お客さんは入ってこない。神殿なら世界最大の規模を誇るダーマ神殿があるし、美しい建造物や景観を兼ね備えた観光地は他にも世の中にたくさんある。それが二つ目、この地ならではの突出した魅力がない、ということである。
 おそらくそれでへそにゃんは、自身にインパクトを与えるために新たなキャラ付けを行ったのだろうが、むしろ逆効果になりそうなのは気のせいだろうか?
 そして最後が、満足度。いくらお客さんが来てくれても、また行きたいと感じてくれなければ客足は伸び悩む。神殿の入り口に貼られた貼り紙がいい例だ。こんなに豪奢で素晴らしい外観なのに、半ばやっつけ仕事のようなあの貼り紙を壁に貼ってしまっては台無しだし、お客さんの足が遠退くのは自明の理だ。
 聞いてみるとなるほど、確かにユウリは色々考えた上で改善点を出したのだろう。
「……という訳で、町の財政が逼迫しているのもあって、ユウリさんが指摘してくださった点をもとに、色々と試行錯誤しているんです」
「なるほど……」
 せっかく地球のへそに入れるようにしてくれたんだ。私もなにかアイデアを出して彼らに貢献したい。
「私もランシールを観光地として発展出来るように協力します!」
「えっ!? 本当ですか!?」
 弾むような声で聞き返すへそにゃん。よほど困っていたのだろうか。
 かくして私とへそにゃんは、ラン
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