第二章
[8]前話
「動画チャンネルも開設したよ」
「ユーチューブね」
「そっちじゃ持ちネタ、新しい芸も披露してな」
お笑い芸人としてのそれをというのだ。
「ゲーム実況もしてるよ」
「色々やってるわね」
「勿論お笑いの方もな」
本職もというのだ。
「すげえ勉強してな」
「やってるのね」
「そうなんだよ、いや俺姉ちゃんと違って勉強苦手でさ」
国立大を出て今は銀行員をしている姉のことも話した。
「適当に高校出てな」
「事務所の養成所入ってデビューして」
「喋りが面白いってことでお笑い芸人になってさ」
それでというのだ。
「何年もやってるけれど」
「お笑い以外のこともしてるのね」
「どれも必死にな」
「ジェスチャーとかラップとか」
「それでゲーム実況もしてるんだよ」
「お笑い芸人も大変なのね」
「ああ、テレビでも出てるだろ」
姉に問うた。
「時々な」
「私テレビあまり観ないけれどたまに観るわね」
「そうした仕事ないとな」
さもないと、というのだ。
「食えないからな」
「色々なこと必死にやってるおね」
「そうなんだよ、お笑い芸人だってな」
「大変なのね」
「そうだよ、楽しくやってる様に見せていてもな」
ファンや事務所の面々にはというのだ。
「実はだよ」
「苦労してるのね、あんたも」
「姉ちゃんだから言うな、それで今度姉ちゃんネタにしていいか?」
「ネタって?」
「まだ結婚しってのかよって言ったらサソリ固めかけらたってな」
「今からヘッドロックかけるからそれにしなさい」
言って早速だった。
姉は弟にそれをかけた、そのうえで来年結婚すると答えて両親にそれを言いに来たと答えた。このネタは実際に言われて好評だった。
だがここでだ、弟は姉に電話で言った。
「またネタ頼むな」
「わかったわ」
姉は無表情で答えた、そして弟も大変なのだとあらためて実感した。
お笑い芸人の苦労 完
2022・8・19
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