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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第70話 怪盗紳士
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置のデータを取れと言われただけだからね。幽霊騒ぎは選挙で熱くなっていた人々を和ませようとした私なりの余興だよ」
「その余興で騒動が起きかけたんだけどね……でも結社の関係者をこのまま逃がすわけないよ。捕まえて知ってること全部話してもらうから」


 わたし達はそう言ってブルブランに武器を構えた。


「……フフッ」
「何がおかしいのよ!?」
「いや、こうして武器を構える姿を見ると益々その美しさと気高さが伝わってきてね。つい笑みを浮かべてしまったのだよ」
「なんの話?」


 エステルとわたしはブルブランの言葉の意味が分からずに首を傾げた。


「そもそも私が今回の計画に参加したのは二人の人物に相見えたかったからだ。その一人がクローディア姫、貴女だよ」
「わ、私ですか!?」


 ブルブランはクローゼに会いたかったと話す。やっぱり変態なのかな……


「市長逮捕の時に見せた貴方の気高き美しさ……それを我が物にするために私は今回の計画に参加したのだ。あれから数か月―――この機会を待ち焦がれていたよ」
「えっと……」


 突然の告白にクローゼは何も言えなくなってしまった。やっぱり変態だね、こいつ。


「ちょっと待ってよ!市長逮捕って……ダルモアの事件の時よね?あんた、その場にいたって事!?」
「フフ、私はあの事件の時陰ながら君たちを観察していたんだ。こうやってね……」


 ブルブランはそう言うと一瞬で姿を変えてしまった。それは執事のような恰好をした男性の姿だった。


「あ、貴方はダルモア家にいた執事の……!?」
「そう、私だったのだよ」
「思い出したわ!ルーアンの依頼で盗まれた燭台……その場に残されていたカードに書かれた怪盗Bっていうのはあんただったのね!」


 クローゼはその姿を見て驚いていた、どうやらダルモア家の執事の人に変装していたみたいだね。


 エステルは準遊撃士だったころに怪盗Bって奴から盗まれた燭台を取り返したって前に聞いたことがあるけど、その怪盗Bがブルブランだったって訳か。


「怪盗とはすなわち美の崇拝者、気高きものに惹かれずにはいられない。それが物であろうと人であろうとね。姫、貴女はその気高さで私の心を盗んでしまったのだよ。他ならぬ怪盗である私の心をね……」


 貴女は大切な物を盗んでいきました、それは私の心です……って事?勝手に巻き込まれたクローゼが可哀想……


「おお、なんという甘やかな屈辱!如何にして貴女はその罪を贖うつもりなのか?」
「あ、あの……そんなことを言われても困ります」


 クローゼは本気で困惑していた。


 そりゃそうだよ、いきなり私の心を盗んだ罪をどう贖うのかなんて聞かれて答えられる
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