第三十章 わたしたちの世界、わたしたちの現在
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識の時代にもあったはずの、量子コンピュータ。角度とずれ戻り、が加わったのが超量子。さらに、反応素子にエーテル式を使ったのが超次元量子。エーテル式を使っているため、この世に存在しつつも存在しない、存在しないものだから、宇宙ある限りは壊れない」
「いやいや、時間をどうこう操作しようとして『壊れちゃったあテヘペロ』とか、そんなこと話してたじゃんかよ」
コンピュータってなに、などといっておきながら、こうした突っ込みは素早く的確なカズミである。
「時送りの不具合は、たぶん霊的な問題です」
「霊的?」
尋ねたのはアサキである。
その表現に、疑問を感じて。
こちらの世界の技術は、純然たる科学のみだと思っていたから。
「ああ、語弊がありますね。わたしたちの理論で解明出来ないというだけで、科学に基づいた挙動や結果なのだとは思います。いかんせん解明するための技術設備が、ここにはないので」
納得した。
確かに現象の解析改善の技術があれば、とっくに解明した上で、その「時送り」を実行し、宇宙延命の技術を手に入れているだろう。
「でも理論云々は関係なく、無限空間記憶層を媒介にしている以上は、時送りに支障が出るのは当然という気もしますね」
淡々と語るヴァイス。
その言葉に、アサキは思わずほっと安堵していた。
別に大した理由ではない。
彼女にも知らないことがある、ということに人間的なものを感じたためだ。
「こがいな、もやもや雲の中に、うちらの世界があった、うちらは、生活しとったじゃなんて……」
まだまったく実感がわいていないようで、相も変わらず不思議そうな顔の治奈である。
「そうですね。このエーテル式による演算が、あなたたちの住んでいた仮想世界を作っていた。でも、記録層つまりメモリ空間の物理媒体ということならば、この宇宙すべてが、ということになるけれど」
「い、い、意味が分かんねえぞお」
綿菓子雲の中をふわふわ浮かびながら、カズミが両手で頭を抱えた。
ヴァイスは、ちらりそちらへ視線を向けると、小さく息を吐いた。
「正直にいうとね、あなたたちに理解出来なくてもいいんですよ。わたしにしても、この変わらぬ日々の中そのまま朽ち果てていくのならばそれはそれで構わない、という気持ちにもなっていたのですから。……つまり、あなたたちは別に、こちらの世界へ来なくたってよかったんだ」
「はあああ? なんだそりゃあ! 栗毛! お前、なんか超絶ムカツクんだけどお!」
「すみません冗談です」
あっさり、ヴァイスは謝った。
「そういう気持ち考えが、微塵もないわけじゃない。でもわたしは別に半導体のコンピュータじゃないし、疑似といえ感情がありますから。……幾ら
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