第2部
ランシール
地球のへそ
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嫌だ!! こんなところで死ぬなんて!!
私は混濁する意識をなんとか元に戻そうと、自分の指をかんだ。口の中に血の味が広がったが、多少意識を保つことができた。
すると、今度はドラゴンが自身のしっぽを振り上げている。その横では、杖の魔物がじっとこちらの様子をうかがっていた。
ビュンッ!!
ドラゴンのしっぽが、私の頭めがけて振り下ろされ、私は後ろに大きく飛び退いた……はずだった。
ドガッッ!!
後ろに下がったはずの私の足は、なぜか前へと出ていた。ドラゴンの攻撃をまともに食らい、私は地面に倒れ伏す。
「ベホイミ」
さっきと同じ声で、杖の魔物が呪文を唱えた。ホイミよりも上位の回復呪文だ。おそらく、ドラゴンにかけたのだろう。
まずい。このまま倒れていたら、回復したドラゴンにとどめを刺されてしまう。私は必死に体を起こそうとするが、思いの外ダメージが大きく、これ以上動かない。星降る腕輪も、装備者の体が動かなければ効果を発揮しない。私は悔しさのあまり歯を食いしばると、二匹の魔物をキッと睨みつけた。
すると私の放つ殺気に反応したのか、魔物はゆっくりとこちらに近づく。ドラゴンは口を大きく開け、杖の魔物は呪文を唱えるしぐさを始める。
ーーダメだ!このままじゃ、本当に死んでしまう!!
命の危機を感じた私は、咄嗟に首もとのペンダントを握りしめた。
お願い、神殿へ戻らせて!!
キィィィン……!
まるで石が擦れあうような音。それがどんどん大きくなり、やがて耳鳴りのように私の精神を揺さぶっていく。
意識が混濁するなか、私はずっと、ユウリの姿を思い描いていたのだった。
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