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俺様勇者と武闘家日記
第2部
ランシール
地球のへそ
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 空気が揺らいだ。今だ!
 ドゴッ!!
 鈍い音を立て、何かが倒れた。目を開けると、側には私の蹴りを受けて昏倒しているキャットフライの姿があった。
「できた……!? ? 気配だけで、倒せた……!!」
 嬉しさのあまり、言葉に出す私。けれど、それで浮かれてる場合じゃない。まだ近くに魔物が潜んでいるのだ。
 再び、目を閉じる。今度はなかなか動きを見せない。先程の一撃で、警戒しているのだろうか。
「!!」
 今だ!!
 私は直感的に正拳突きを放った。
「ギャアアアアア!!」
 悲鳴と共に倒れたのは、オオアリクイの上位種、アントベアだ。長い爪をひくつかせながら、目を回している。
 やがて事切れると、私は完全に魔物の気配がないことを確認した。
「やった……!!」
 視界に頼らず、一人だけで二体も魔物を倒した。その事実が、私の自信をこれ以上ないまでに高めてくれる。
 私だって、やるときはやるんだ!
 この調子で行こう。すっかり自信を持った私は、力強い足取りで先へと進んだ。



 それから、何度魔物と遭遇しただろうか。
 一体何匹いるのか数えるのも億劫なくらい、相当の数の魔物を倒して来た。
 一匹一匹は大したことないのだが、いかんせん数が多い。四、五匹で同時に来られるとさすがに捌ききれず、いくらかダメージを受けてしまった。
 それでも薬草などを使い体力を回復するが、どこまで行っても同じような道が続くだけで、先が見えない。
 いい加減うんざりした私は、一度休憩を挟むことにした。
 その場に腰を下ろすと、岩はひんやりとしていて、汗ばんだ体に冷気が染み渡る。岩壁にもたれようと背中を預けた瞬間、
「痛っ!」
 背中に痛みが走り、振り向いて壁をさわると、ちょうど背骨のところに岩壁の突起が当たっていた。背中をさすりながら私はその突起をまじまじと見る。
 随分と特徴的だな、と思いながら、少しずれて再び壁に寄りかかった。ふう、と一息つくと、今までの疲れが急にどっと押し寄せてきた。
 けれど、疲労感と同時に、自分が少しずつだが成長していく達成感も味わっていた。やはりここへ来て良かった。あとは先を目指すだけだ。
ーーそういえば。
 先を目指して、証を手にいれれば修行は達成したと言っていたが、証とは一体なんなのだろう。エドガンさんは具体的にどういうものか教えてくれなかった。ということは、証を見つけるのも試練の内ということだろうか。
ーーでももし、見つけられなかったら?
 先のわからない目的に多少の不安を感じ、じわりと額に汗が滲み出す。その些細な不安を取り払うように私は頭を振って気を取り直した。そしてすっくと立ち、何事もなかったかのように再び歩き出した。
 そうだ。目的なんて考えるだけ時間の無駄だ。早く、先に進まなきゃ。先に進め
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