第8章 冥府の門編
第39話 悲壮
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ることはできたが、力を使いこなすには至っていないこと。自分の中にもう一人の自分がいる感覚を伝えた。
・アクノロギアと、アルバトリオンのこと。そして、バルファルクの生態と弱点など。
・残る三天黒龍の一角であるミラボレアスの情報は今のところ有益なものはなく、現在も評議院が調査中ということ。
など、あげればきりがないが、この戦いで分かったことを皆が意見と情報を出し合いながら
話し合いを進めた。
ちなみに、アレンの過去については、特に話に上がることもなく、皆が以心伝心したかのよ
うに、詮索するような真似はしなかった。
アレンとしても、特に話しても話さなくても意味がないと感じ、また皆の負担になっては
ならないと思い、自分から話すこともしなかった。
さて、そんな風にして昨日は非常に暗く、真剣な面持ちを見せていた仮設ギルドであった
が、そんなことを忘れたかのような騒ぎに、アレンはふっと笑みを零す。そんなアレン様子をミラが、不思議そうにアレンへと問いかける。
「どうかした?」
「んん、いや、やっぱこのギルドは騒がし…あ…」
アレンは、ミラの言葉に反応して見せたが、右側に置いていたカップに手をぶつけてしまい、中に入っていたコーヒーが零れてしまう。ミラはそれを見て、布巾で拭き上げる。
「大丈夫?」
「わりいな、ミラ…両目があった頃の感覚が抜けなくてよ…」
アレンは暗くなった視界を認識するようにして言葉を漏らした。その言葉に、ミラや周りにいるものの表情が暗くなる。
「その…ごめんなさい…」
「…何言ってんだよ…ミラのせいじゃねえよ」
ミラは、思い出したくない過去を思い出してしまい、ぎゅっと手を握り、小さく震える。そんなミラの手をアレンは優しく包み込む。アレンに手を添えられたことで、ミラは小さく赤面する。そんな風にしていると、斜め後ろからエルザが近づいてきた。
「アレン…いにしえの秘薬は…作れたりしないのか?」
「あー、その点に関しては、ポーリュシカさんに声かけてあるんだ」
アレンの言葉に、ミラは希望を孕んだ声を滲ませる。
「も、もしかして…作れそうなの?」
「んー、現状何とも言えないんだよな…いにしえの秘薬には活力剤ってのとケルビの角が必要なんだけど、このケルビの角ってのがないんだよねー…。俺の世界のモンスターだから、この世界にもいないし…」
アレンの言葉に、ミラとエルザは少し落ち込んだ様子を見せるが、あることに気付いたウルティアがアレンに尋ねる。
「ヒノエとミノトが持ってたりしないの?」
「あー、残念ながら…」
「そうか…」
アレンはその質問に否定で答えると、ウルティアが一つため息をつく。すると、エルザの表情が険しいものになる。
「あの時…私に使っていなければ…」
アレンはその言葉を聞き、突然ガタッと立ち上がると、エ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ