第8章 冥府の門編
第39話 悲壮
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もな…」
ラクサスはゆっくりとウェンディの頭から手をどける。
「だが、アレンはそれをしなかった…。それどころか…ナツの成長を見守り、ウェンディとガジルにも修行をつけた…あのドラゴンたちも言っていただろう…『俺たちの子どもに手を出さないでくれた』…ってよ」
エルザ達は、ラクサスの言葉に、ゆっくりと息を漏らして同意する。
「アレンは…あいつは、物事の曲直正邪がわかる人間だ…ドラゴンにも良い奴と悪い奴がいる…。それが分かったからこそ、ウェンディ達を育て、大切に思うドラゴンを…、そしてウェンディ達に手が出せなかったんだ…。。例えそれが…」
ラクサスは言葉を詰まらせ、ゆっくりと意を決したように口を再度開く。
「愛する女との約束でも…」
その言葉を聞き、ウェンディは膝を着き、両手で顔を覆った。エルザ達も、小さく目尻に涙を浮かべ、ぎゅっと目を閉じる。一体どれほどの葛藤が…執念が…アレンを襲い、絶望が…覚悟があったのか…。エルザ達は、それを想像するだけで、今にも涙が溢れそうであった。ラクサスも同じくそんな気持ちを持っていたが、それをぐっと抑え、ゆっくりとウェンディを見つめる。
「だから、アレンは大丈夫だ…。落ち着いたらまたギルドに帰ってくる…。またいつもみたいに、ナツもガジルも一緒に…皆で笑いあえる日が来る」
「ッ…!はい!ありがとう…ございます…ラクサスさん…」
ウェンディは自信を勇気づけてくれたラクサスに、声を震わせて礼を言う。エルザ達も、ラクサスの言葉に勇気づけられ、ゆっくりと明るい表情を見せる。ラクサスも、そんな雰囲気に暫し感銘を受けていた。そう…それ故に、この後の言葉に、特に考えもせずに、流れで反応してしまった。
「おい、ラクサス、この瓦礫、向こうに持ってってくれ」
「ああ……あ?」
ラクサスは吐き捨てるようにして言われたその言葉に、一度返事を返したが、その声の主を頭で理解すると、思わず疑問を投げかけてしまった。
「ア…アレン?」
「な、なんで…」
エルザ、ミラも酷く驚いた様子で目を見開く。
「なんでって…瓦礫運んできたんじゃねーか…」
アレンは何言ってんだこいつら…と言った様子で怪訝な表情を見せる。
「い、いや…だって…」
「その…」
カグラ、ウルティアもうまく口が回らずにしどろもどろと言った様子であったが、それはアレンの後ろからくる人物により、更なる衝撃を見せる。
「おーい、アレン!俺も瓦礫持ってきたぞー!!」
「ナ…ナツ…」
その言葉に、ラクサスも思わず狼狽する。アレンと同様に、酷く落ち込んでいると思っていた皆も、目を震わせ身体を固める。
「おう、ナツ!ここ置いとけばラクサス達が引き継いでくれっから!」
「おお、そうなのか!わりーな、皆…んじゃ、もういっちょ行くか、アレン!」
思いっきり固まっている皆に特
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