第8章 冥府の門編
第39話 悲壮
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「ラクサス…お前、動いて大丈夫なのか?」
「あ?問題ねえよ」
エルザは、メンバーの中でも傷の深いラクサスが撤去作業に打ち込んでいるのを見て、心配そうに声を掛ける。
「ほんと、タフなやつね…」
「無理すんじゃないよ」
ウルティアとウルも、そんなラクサスに呆れたように口を開く。
「…アレンの奴に比べたら、大したことはねえ…」
ラクサスが小さくはなったその言葉に、周りの皆の手が止まる。
「…そ、そうね…」
「ああ…あれからアレンを見ていないな…」
ミラとカグラが、記憶を探るようにして言葉を発する。アレンの過去、その全てを知ったわけではないが、グランディーネなどドラゴンとの会話、そしてアレンとヒノエ、ミノトの反応から大方の様相はついていた。
「アレンは…一度すべてを失っていたのね…」
「…ドラゴンに…その…」
「殺されたってことよね…」
ミラ、カナ、ウルティアが息を漏らすようにして言葉を発する。
「…だからアレンさんは…三天黒龍を…」
「…命を賭けてまで倒そうとする理由が…わかったわんだゾ…」
ユキノ、ソラノも苦しそうに口を開く。そんな風に会話をしていた皆であったが、青い髪を腰まで伸ばした小柄な女の子がゆっくりと近づいてくる。
「…ウェンディ…」
その人物を捉えたエルザが、静かに口を開いた。ウェンディは、どこか絶望に似た表情を浮かべていた。
「わたし…わたしは…」
ウェンディがなぜ、そんな表情を浮かべているのかを察した皆は、すっと視線を下に落とす。
「一体アレンさんに…なんて声を掛ければ…」
ウェンディの頬から、ポロっと涙が伝う。それを見て、皆がゆっくりと握り拳を作る。ウェンディは、自身を育ててくれたドラゴンを、グランディーネを守ろうとしただけだ。何も悪いことはしていない。むしろ当たり前の行動であった。だが、それがアレンにとってはどうだったかと考えると…また話は違ってくる。そんな二律背反の様に、ウェンディ含め、皆苦しんでいたのだ。だが、そんなウェンディの頭をそっと撫でる人物が現れる。
「ッ…ラクサスさん…」
「大丈夫だ…心配いらねえ…」
ラクサスはウェンディの頭を優しく撫でながら、ゆっりと語り掛けた。
「ッ…ラクサス…あまり無責任なこと…」
「俺たちのアレンは、そんなに弱い人間じゃねえ!」
ウルティアがラクサスに語り掛けるが、ラクサスはそれをかき消すように声を荒げる。その声に、皆が目を見開いて驚く。
「もしアレンが…本当の意味で憎しみに、復讐に取りつかれていたら…なんでナツは生きてんだ…」
その言葉に、皆が気付いたように目を細める。
「…もし本当に、全てのドラゴンを、その力を持つものを滅するのが目的だったなら、7年前に、ナツはアレンに殺されているはずだ…もちろん、ガジルやウェンディ…セイバーの2人
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