第8章 冥府の門編
第39話 悲壮
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そしてなにより…」
「「「「我らの子どもに、手を出さないでくれた…」」」」
その言葉に、アレンはぐっと握りこぶしを作り、俯く。
「…ウェンディ…どうやら、そろそろお別れの時よ…」
その言葉を聞き、ウェンディはバッと振り向く。
「いや…言っちゃやだよ…グランディーネ!!」
ウェンディはまたも涙を流し、声を掛ける。そんなウェンディの頭にガジルは手を添える。
「見送ってやろうぜ、胸を張ってよ…アレンのためにも…」
ガジルのそんな言葉に、ウェンディは目を細めながらグランディーネを見つめる。
「我らは、あなたたちに何もしてあげられなかった…でも、あなたたちはきっと、自分たちの道を、自分たちの手で切り開いていける!私たちは…そんなあなたたちをいつまでも見守っている!」
グランディーネはそう言い放つと、ゆっくりと空へと飛翔していく。メタリカーナが、バイスロギアが、スキアドラムが、それぞれに我が子に声を掛ける。そして竜たちの身体は、次第に赤い光に包まれ、その姿を消失させる。少し離れた場所にいたイグニールの身体も、赤い光となって消えていく。
アレンはそれを見届けると、後ろを振り向き、膝から崩れ落ちる。
「ごめんな…カリン…お前との約束…守れなかった…」
アレンは小さくそう呟くと、地面に力なく座り込む。
「ッ…アレン…」
「う…うぅ…」
「くっ…」
アレンの力尽きたような姿に、エルザ、ミラ、カグラは苦しそうに声を漏らし、涙を流す。
そして、ヒノエとミノトが一歩アレンへと近づき、声を発した。
「本当に…本当に良かったんですか?アレンさん…」
ヒノエが悔しそうに言葉を掛ける。ミノトは何も言わなかったが、その顔は険しいものとなっていた。
「それ以上…」
アレンはそんな2人の疑問に答えるようにして、小さく呟く。
「それ以上…何も言うな…姉さん…」
初めて聞く、アレンの弱弱しく、それでいて苦しそうな言葉に、皆は驚き、涙を流す。
そしてそれと同時に、ヒノエとミノトが、アレンの元へと駆け寄り、抱きしめる。
ヒノエとミノトに抱きしめられたアレンは、更に涙を流し、呻きを漏らす。
「うっ…うう…うわああああああっっ…」
そして、アレンの悲痛の叫びが、天高く響き渡った。
戦いの幕が閉じ、避難してきた住民たちが、次の日の朝にはマグノリアの街へと戻ってきた。ハルジオンやオニバスの街に避難していた住民たちは、マグノリアで起こった戦いの一端を映像用ラクリマにて見ていたが、実際に自分たちの街が破壊つくされている様相を見て、言葉を失った。だが、王国から派遣された兵士の助けもあり、次第に皆が瓦礫撤去に勤しむようになる。
フェアリーテイルのメンバーも、日常生活を送るのに支障がない程度には回復していたため、ギルドの瓦礫撤去と並行して街の復興に当たっていた
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