第2部
ランシール
観光の町ランシール
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度と帰ってこれない不吉な場所』という噂が立ち、訪れる人は殆どいなくなりました」
「そうか。それで今は修行場ということを隠して、観光地として客を寄せ集めようとしているわけだな」
腑に落ちた顔で、納得するユウリ。しかしその割には、観光客が殆ど見かけないのはどう言うことだろうか。
「ユウリさんの仰る通りです。……しかしここは人里離れたところにある町のせいか、ここ何年も観光客は殆ど来ておらず、今や我が町は財政危機に陥っているのです」
すると、ずっと黙っていたへそにゃんが、ずいと顔を出してきた。
「苦肉の策でマスコットキャラを作ったんですが、現状は全く変わらなくて……」
ああ、やっぱりへそにゃんはマスコットキャラだったんだ。
「根本的な解決策を考えないといけないのですが、どうにも思い浮かばないんですよね」
「なるほど……」
二人が思い悩んでるのを見て、私も顎に手を当てて考え込む。
「おい、今は地球のへそに挑むのが先だろ」
「あっ、そうだった」
ユウリに指摘され、はっと顔を上げる私。
出来ればペンダントを使わずクリアをしたい。けれどその前に死んでしまったらどうしよう。そんな複雑な気持ちを抱えつつも、私は素直にペンダントを身につける。いくら強くなると言っても、そこで命を落としてしまっては元も子もない。気を付けなければ。
「では、早速挑戦しますか?」
「あっ、はい!!」
勢いよく返事をすると、エドガンさんが目の前の廊下に進むよう手で促した。
「それなら、こちらへどうぞ。奥の扉を開ければ、地球のへそに通じます」
その言葉を聞いた途端、廊下の先にある扉が、随分遠くに感じられた。
「それじゃあ、行くね」
一度深呼吸をして、私は一歩前に出る。エドガンさんは不安そうにしていたが、口を出すことはなかった。
「あまり自分の実力を過信するなよ。それでなくてもお前はすぐ調子に乗るからな」
「わ、わかってるよ!」
ホント、ユウリってば一言多い。何もエドガンさんの前で言わなくてもいいじゃない。
「では、お気をつけて」
「頑張って下さい!!」
私は心の中でぶつぶつ文句を言いながらも、三人に見送られ、地球のへそへと挑むことにしたのだった。
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