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レーヴァティン
第二百五十七話 酒の後でその七

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「少なくともこの世界では治るからな」
「完治する」
「そうした病気になっているからな」 
 それだけにというのだ。
「治すべきだ」
「それも絶対にな」
「感染が広まると恐ろしいことになる」 
 梅毒についてもだ、ペストや天然痘に比べて病気の進行はかなり遅いが恐ろしい病気であることは事実だ。
「だからな」
「治療方法も知り」
「それを行わないとな」
「感染したならばな」 
 その時はというのだ。
「まさに」
「そうだな、しかし」
 ここで幸正はまた言った。
「この世界では水銀治療や発熱治療がなくてよかった」
「どちらもかなり危険だからな」
 正も言った、発熱治療はあえて熱病になりその熱で梅毒金を殺す治療方法である。
「確かに高熱で梅毒金は死ぬがな」
「高熱に弱いからな」
「そして水銀でもだ」
「治療出来るが」
 幸正も言った。
「しかしだ」
「どちらも下手すれば命を落とす」
「後遺症も心配だ」
 水銀治療の場合は特にだ。
「それでシューベルトも死んだ」
「梅毒になりな」 
 俗にチフスで死んだとされているが実は彼は梅毒に感染しており名曲野薔薇もその治療中に作曲されている。
「そうしてだな」
「水銀治療を行い」
「その中毒で世を去った」
「三十一歳の若さでな」
「残念なことだ」
 正は実際にその感情を出して語った。
「長く生きていればな」
「より多くの名曲を生み出した筈だが」
「未完成交響曲も完成していた」
「そうなっていたな」
「そう思うと残念だ」
 その感情を出した声で語った。
「だからだ」
「梅毒は治すべきだ」
「その知識を備えてな」
「出来るだけ感染しない様にし」
 そしてというのだ。
「感染すれば治す」
「そうべきだ」
「他の感染症と同じくな」
「知識を備えろ」
「そして教えるべきだ」
「自らも律しな」
「全くだな、しかしだ」
 幸正はここで言った。
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