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崩壊した世界で刑部姫とこの先生きのこるにはどうしたらいいですか?
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始まりの章-世界は終わった、しかし物語はここから始まる-
奇妙なS/悪徳政治家を追え
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私のモンだ…。」
「すず…か…。」

近寄る橋本。
征はそれを知らせるべく鈴鹿御前に声をかけるが、彼女は気付いていない。

「やめろ…くる、な。」
「前々から欲しかったんだよ。そのサーヴァントってやつが、そいつさえ手に入ればお前達は用済みだ。」
「……!」
「死ぬのが怖いか?でも安心しろよ。後で弟にもちゃんと会わせてやるから。勿論あの世でな。」

その時だった。

「ぐ…っあああああああああ!!!!!!!!」
「征!?」

倒れていた征が跳ね起きたのだ。

「なっ、何をす…!?」

最後の力を振り絞り、征は橋本に全力で体当たりをかます。
思いもしない反撃に橋本は仰け反り、そのまま後ろへと後ずさった。

「やめろ…!!弟には…将には指一本触れさせないぞ…!!」
「ガキ1人どうなろうが知ったことか!!もう何千何万と死んでんだぞ!!」
「うるさい!!!将は将だ!!誰にも代われない、俺と鈴鹿の大切な弟だ!!」

そうして征は血痕を残しながらどんどん前進していく。
彼の進む先、そこにあるのは地面の亀裂。すなわち崖。

「征!!」
「鈴鹿…俺が間違ってた。悪かったよ。本当にごめん。」
「謝んなくていい!!そいつは私が殺すから征は…!!」
「いや、いい。俺はここで、こんな結果を招いた責任を果たすよ。」

征の胸の傷は深く、血もかなり流している。
近くに病院なんてない。そんな深い傷を治せるものもどこにもいない。
自分は長くは無いと悟り、征はこういう結果を招き、鈴鹿御前と弟の将に嫌な思いをさせた責任を取るために、ケジメをつけるために。
奴を道連れにしようとしていた。

「心底嫌だけど、あの世に行くのは俺と将じゃない。俺とお前だ!!」
「この!!やめろ!!やめろやめろやめろ!!!」

もう崖はすぐそこにまで迫っている。
死にたくないと懇願する橋本。
何度も何度も征の脇腹にナイフを突き刺し抵抗するも、彼は力を緩めることはせず、抱きついたまま前進する。

そして、

「鈴鹿。」
「…!!」
「全ての令呪を以て命ずる…『将を…立派な男になるまで守ってやってくれ』。」

最後にそう命令し、彼と橋本は崖へと落ちていった。

「…あ、ああ…!!!」

伸ばしかけていた手が、止まる。
守れなかった。自分はマスターを守るためのサーヴァントなのに。
逆に、守られてしまった。

「…?」

そうしていると、テントからガサゴソと音がし、将が顔を覗かせてきた。

「すずかおねえちゃん…?」
「…!」

呼ばれ、ふと我に返る。
そうだ。
自分はマスターに命令された。託された。

「こわいおじちゃんは?おにいちゃんは?」
「…うん、どこいったんだろうね。」


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