第2部
ランシール
いざ、ランシールへ
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を投げつけるが、彼は私の文句などどこ吹く風で、ひたすら笑いをかみ殺していたのだった。
二度目のテドンを離れてからおよそ半月。船は着実にランシールを目指している。
ふと気づけば、ナギやシーラと別れてから、四ヶ月以上が経過していた。最初は会えなくて寂しい思いをしてきたが、徐々にこの生活に慣れてきた。とはいえ時折二人のことを思い出すと、無性に会いたくなってしまうのは仕方のないことだろう。
ユウリとは、最初のころよりはだいぶ気安く話せるようになった。相変わらず毒舌だし、私が何か話しかけたり近づこうとするとたまに避けるけど、なんとなく最初の頃よりも性格が丸くなった気がする。それとも私が我慢強くなっただけだろうか?
「おい、間抜け女。寝てるのか?」
そんなことを船室で考え事をしていたら、扉の向こうからユウリの声が聞こえてきた。返事をしないと、やっぱり寝ていたと思われてしまう。私は仕方なくベッドから跳ね起きて、船室の扉を開けた。
「やっぱり寝てたのか」
「寝てないよ! ……それより、何か用?」
私が憮然とした顔でユウリに尋ねると、ユウリは指で外に出ろと合図をした。
「そろそろ次の大陸に着くそうだ。準備して甲板に出てこい」
私は急いで鞄に荷物を詰め込み、出発の準備をした。
甲板に出ると、先に行っていたユウリとヒックスさんが待っていた。
「もう少しすれば、港町に到着します。そこからランシールまでは徒歩で一週間以上はかかります。どうか気をつけて行ってきてください」
「ああ、わかった。すまないが、しばらくの間待っててもらえるか?」
「ええ。私たちのことはお気になさらず。では、いってらっしゃいませ」
手短に挨拶を済ませると、ユウリはさっさと下船の準備を始めた。
「おい、何してるんだ。早く来い」
いつも通りの塩対応に内心不満を感じたが、怒りをそっと心にしまいこみ、ユウリの後に続く。うん、やっぱり忍耐力が上がっただけかもしれない。
船から降りると、潮風が鼻をくすぐってくる。港町特有の匂いだ。ポルトガほど栄えているというわけではないが、ここは特に入国規制をしているわけではないようだ。港町を抜け、すぐに次の町へと向かう。世界地図を見ると、確かにここからランシールまでは割と距離があった。
だが、幸いにも途中襲い掛かる魔物のほとんどは、私たち二人でも余裕で倒せる程度の強さだった。いくつかの村や町を経由しながらも、あっという間にランシールの手前まで辿り着く。
こうも調子がいいと、『地球のへそ』と呼ばれる試練も、意外にあっさりクリアできるんじゃないかと思えてくる。
「そうやって調子に乗ってると、油断するぞ」
私の心を読んだのか、ユウリが横目で釘を刺す。なんでこういうときばっかり私の考えが読めるのだろう。
なんて思
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