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レーヴァティン
第二百五十七話 酒の後でその五

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「梅毒の方が怖いですね」
「お話を聞きますと」
「どうにも」
「あちらの方が、ですね」
「身体が文字通り腐るので」
「お鼻も落ちますし」
 梅毒の有名な症状の一つだ、肉も軟骨も腐りそうなってしまうのだ。
「まず身体中に斑点が出来て」
「それが腫瘍になり膿みますね」
「神経や骨も侵され」
「脳にもいき狂いますし」
「耳も聞こえなくなります」
「まことに恐ろしいです」
 ベートーベンの耳が聞こえなくなったことは有名であるがそれも梅毒が原因であったという説がある、スメタナもそれにより聴力を失っている。
 それでだ、紅葉は話した。
「幕府も政で民に話しています」
「帝国もです」
 夕子も答えた。
「あれは感染症ですから」
「一気に広まりますね」
「事実帝国全土で見られます」
「それは幕府もです」
 まさに東西の浮島両方でなのだ。
「性病全体がそうですが」
「梅毒も然りで」
「広まりしかも身体を蝕まれて命を落とす」
「それではですね」
 紅葉はさらに話した。
「政として抑える」
「そうしなければなりません」
「国の害にもなります」
「全くです、結核とこの病はです」
「何とかしなければなりません」
「まことに」
 夕子も答えた、その通りだと。
「どちらの病もこの世界では治りますが」
「起きた世界と比べて技術が未熟な部分も多いですが」
「それでもですね」
「治せますし」
「コンドームもあります」
「ですが脅威であることは脅威です」
 紅葉はこのことを否定しなかった、もっと言えば出来なかった。脅威であることは紛れもない事実であるから。
「国にとっては」
「病が民に広まればそれだけで国が衰えます」
「スペイン風邪もそうでしたが」
「ペストもまた」
「そして梅毒も然りです」
「結核と並んでそうですね」
 実にとだ、夕子は無意識のうちに飲む手を止めて話した。
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