第8章 冥府の門編
第35話 虚化
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瞬にして死亡したことにより、エルザ達にかかっていた感覚強化魔法が解かれ、痛みの感覚が正常に戻る。それを感じ取った6人は、アレンの動向を見守りながら、ゆっくりと身体を起こした。それと同時に、キョウカの痙攣が止まったことで、アレンはその視線をエルザ達へと向ける。
視線が自分たちに向いた瞬間、エルザ達はピタッと身体を強張らせ、固める。恐怖はもちろんある。状況を察するに、アレンは正常ではない。恐らく虚化という改造により、完全に普段の意識を保っていない。
だが、それだけではなかった。恐怖による身体の硬直ではない。もっと別のものが6人の身体を支配していた。これはなんだ?…まるで身体全体を縛るような圧倒的なオーラ…。気迫のようなものが6人に身動きを取ることを許さなかった。
そんな6人に、アレンはゆっくりと足を踏み出し、近づいてゆく。その姿を見て、6人は更に恐怖を滲ませる。
「アレン…さん…」
ミネルバの涙声により、他の5人も声を絞り出してアレンに声を掛ける。
「アレン!私だ!エルザだ!!」
「虚なんかに負けないでっ!」
「っ!目を覚ませ!アレン!!」
「アレンさん!!」
「アレン!!」
エルザ、ミラ、カグラ、ウェンディ、シャルルが悲痛の叫びをあげる。それを聞いたアレンはまたも一瞬で姿を消す。その様に驚いていた6人であったが、突如エルザの前に現れ、エルザの首根っこを掴み、宙釣りにしたことで、更なる驚きを見せる。
「ぐっ…はっ…」
「エルザッ!!」
エルザはアレンに首元を掴まれ、加えて圧倒的なまでの力に息ができずにもだえ苦しむ。そんなエルザの様子を見て、ミラが思わず叫ぶ。
「アレンさんっ!!ダメです!!エルザさんです!!」
「やめてっ!!アレン!!」
「頼む…」
「なんで…こんなことに…」
「うっ…うう…」
ウェンディ、ミラ、ミネルバ、シャルル、カグラが再度苦しそうに言葉を発する。
「がっ…ア、アレ…ン…」
エルザは何とか声を絞り出し、アレンへと言葉を掛ける。刹那、アレン腕の力が一瞬弱まる。
それを感じたエルザは、目を見開きアレンを見つめる。
「…え…える…える、ざ…」
アレンの声を聴き、エルザは更に目を見開き、目尻に涙を浮かばせる。虚に侵された声ではない…。聞き覚えのある、愛おしいアレンの声であった。
「そ、そうだ!エルザだ!!目を覚ませアレン!負けるな!!」
エルザの再三の声掛けに、エルザの首から腕を外す。エルザはごほっと苦しむ表情を見せるが、すぐにアレンへと視線を戻す。
アレンは苦しそうに両腕で頭を抱えていた。
「ぐあああああああああっっっ!!!!」
「アレン…!!」
アレンの叫び声に、ミラは涙をボロボロと流して号泣する。他の5人も同じようにアレンの様相を見つめていた。すると、アレンの顔を覆っていた仮面にピシ
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