第8章 冥府の門編
第35話 虚化
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と到達する。しかし、その足の動きはそこで動きを止めることはなく、セイラの脇腹に深々とめり込むと、気国に耐えない骨や肉がつぶれる音が響き渡る。刹那、セイラは目にも止まらぬ速さで遠方へと吹き飛ばされていく。
「セイラッ!!」
キョウカの叫びをかき消すようにして、圧倒的な砂ぼこりと、ドガアアアンッ!という音を残し、場は静寂に包まれる。
キョウカとエルザ達は、その白い足の正体を確認しようと目を凝らす。
そこには、顔の右上半分を白い仮面が多い、先ほどの足含め、身体の節々が白い鎧のようなものに覆われた人物がいた。
「ま、まさか…」
「あれは…」
キョウカとエルザが、驚愕の表情を浮かべてその人物を見る。少し異質な魔力に変異している者の、その魔力には見覚えがあった。更に、仮面に隠されていない顔、加えて体格から、その人物が何者であるのかを認識するのに、そう時間はかからなかった。
「ア…アレン…さん?」
ウェンディが小さく呟くと同時に、虚化によって暴走したアレンは、コキッと首を曲げ、その向きを天へと変える。瞬間、圧倒的な方向と共に、津波のような魔力が解放される。
『ギュオオオオオオオオオオッッ!!!!!』
その圧倒的な、それでいて邪悪な魔力は、冥界島を駆け巡り、暴走虚化アレンの周りの地面を割り、辺り一帯の岩を含め、あらゆるものを破壊する。
キョウカはその圧倒的なまでの力に、足の力が抜け、尻もちをつく。エルザ達は驚きのあまり身動きが取れず、加えて恐怖で涙を浮かべている。
咆哮と魔力放出を一通り終えた暴走虚化アレンは、ゆっくりと視線を下へと向ける。そして、その視線をキョウカの元へと合わせる。
「ひ、ひっ…」
暴走虚化アレンと目が合ったことで、キョウカは涙を滲ませ、小さく後ずさりする。しかし、腰が完全に抜けてしまっているために、思うように身体を動かすことができない。恐怖で思考が正常に働かないなか、何とか身体を動かそうとするも、キョウカの意識は一瞬で途切れることとなる。何故キョウカの意識が途切れることとなったのか。少し離れたところからキョウカを見ていたエルザ達にはその理由が見て取れた。
アレンが、瞬間移動のように一瞬でキョウカの元へと移動し、キョウカの頭を踏み砕いたのだ。アレンに踏みつぶされたキョウカの頭は、ペシャンコに潰され、真っ赤な血の池を地面に作り出す。その血の池に、点々と、キョウカの脳髄や脳みそ、潰れかけの眼球などが散らばっている。頭を踏み砕かれたキョウカの身体は、ピクピクと痙攣を繰り返していた。
「ア…アレン…」
「なっ…」
「うっ…」
ミラ、カグラ、ミネルバが、その惨劇を見て、呻き声のような、悲鳴のような声を上げる。
『ガアアアアアアア…』
アレンは徐々に痙攣を小さいものとするキョウカの身体を見ながら、呻き声を漏らす。キョウカが一
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