第122話『晴風』
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らないからな。そこらの魔力検知器では見かけの"晴風"という名前しか出ないはずだ」
そうだ、入部時に計測した限りでは晴登の能力は"晴風"だった。そこに間違いはない。だがあの測定は完全ではなかったのだ。
「だからこそ、例外なんだ。本来、1人が2つの能力を持つことはありえない。しかし、何らかの原因でそれが起こることがある」
「何らかの原因って?」
「前例があまりいないから眉唾な内容ばかりだが……お前の場合は確信して言える。ずばり"遺伝"だ」
「え、遺伝?!」
自分が例外だと知ってちょっとそわそわし始めたところで、耳を疑う情報を聞いた。その情報は晴登の持つ知識と食い違うのだ。
「能力は遺伝することはないんじゃ……」
「普通はな。だが極めて練度の高い能力は、親から子に引き継がれることがあるらしい。お前の場合は、俺の"小風"を受け継いだんだ」
そんな話は聞いたことがない。しかし、だからといって否定することはできなかった。魔術にはまだまだ晴登が知らないことが多くあるし、何より父さんが嘘をつく理由がない。
「能力を引き継ぐ時、同時に練度もある程度引き継ぐらしい。お前がレベル1以上の力を引き出せているのはそれが理由だ。影丸も不思議に思っていたよ。『じゃあどうしてあんなに魔術の使い方が似てるんだ』って。俺の練度を引き継いでいるんだから、そりゃ当然似るわな」
「つまり、父さんがそこまで練度を高めたってこと?」
「そうだな。レベル1だった"小風"を、レベル4くらいには引き上げたぞ。俺がお前と同じように、日城中に通っていた頃のことだ」
「えぇっ!?」
「あれ、言ってなかったっけ?」
父さんの魔術の練度の高め具合にもだが、日城中に通っていたという事実の方が何よりも驚きだった。昨日今日だけで何回驚いているのだろう。そろそろ疲れてきた。
「思えば、それが"風神"って呼ばれ始めた所以だったかもな。魔導祭で少しだけ活躍してな」
「そうなんだ……」
「正確には、俺ともう1人がな。そいつと合わせて"風神雷神"って呼ばれたりしたんだよ」
「そんなに凄かったの?」
「ん〜そんなに大層なことじゃないさ。中学生だった俺らの予選の順位が高かった、ただそれだけのことだ。それに今と昔では魔術師の質が違うから、今じゃ大して目立たないだろうな。今年の魔導祭に俺が出たとしても、お前らほどの高順位は残せないよ」
"風神雷神"と呼ばれるぐらいだから、当時の父さんとその仲間は相当強かったはずだが、それ以上に今の魔術師の方が強いというのか。ますます自分たちがベスト4なのが信じられなくなっ
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