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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第122話『晴風』
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身が子供っぽい。それが晴登の父親、三浦 琉空(りゅうく)だった。


「びっくりしたか? もうすぐ帰る頃だと思ってたから待ってたんだよ」

「えっと、その……」

「説明はいらないぞ。全部知ってるから」

「え?」


突然の出来事で、何から話そうと思っていたかが頭から飛んでしまったが、そんな晴登の言葉を遮って父さんはそう言い放った。


「今朝、影丸から電話があったんだ。事情は全てそこで聞いた。久々の会話だと思っていたら、まさかの内容だったよ」


疑っていた訳ではないが、父さんの口から魔導祭や影丸の名が出たことで、彼が言っていたことは事実だったと確認できた。本当にこの人は魔術に関わっているのだと。


「もっと早く知っていれば、手の打ちようもあったのに……」

「そんな、父さんが気にすることなんて──」

「気にするさ。一歩間違えたら息子ともう会えなかったんだぞ? それぐらい、お前は危険な目に遭ってたんだ。ちゃんと自覚はあるか?」

「う……」


父さんにそう指摘され、ぐうの音も出なかった。何せ銃で狙われた結月を庇おうとしたとか、無謀にも敵の親玉に突っ込んだとか、自覚がありすぎる。
一歩間違えれば二度と家族や友達に会えなくなっていたと考えると、それらの行動は後悔はせずとも反省はしなくてはいけない。


「結月ちゃんもお疲れみたいだね。彼女の活躍も聞いている。早く休ませてあげるといい」

「んあ……はっ、ボクは大丈夫ですお義父様!」

「ははっ、そんなに取り繕わなくていいよ。空元気は体に毒だからね」

「う……」


ウトウト眠っていたはずの結月に父さんが声をかけると、彼女は反射的に目を覚まして背筋を正して返事をする。しかし無理をしていることはお見通しのようで、ひとまず結月を部屋で休ませることになった。







「ありがとう、ハルト」

「気にしないで。これくらい当たり前だから」


前回看病した時と同様に、晴登の部屋のベッドに結月を寝かせる。夏だからタオルケットをかけ、冷房の温度は抑えめに設定した。ひとまずこれでゆっくり休めるだろう。


「体調悪いの、お義父様にはバレバレだったね」

「……あのさ、前から思ってるけど、何で父さんのこと『お義父様』って呼ぶの?」

「え、恋人の両親はそんな風に呼ぶんじゃないの?」

「いやそんなことは……」


どこで仕入れたのか、結月のその偏った知識に晴登は戸惑いを隠せない。……いや、持っている漫画にそういうものがあったような気もする。
だが彼女がそう言い始めたのは、この世界に来て最初からであり、文字も読めなかった頃だ。もしかすると、異世界でそういう習慣があったのかもしれ
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