闇と太陽と月の影◆◇二つの紋章
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。ホメロスの方は力尽きて意識を失い、王は抜いていた剣を鞘に納めた。
「??まぁ良い。わしは勇者一行に謝罪しようと思う。大樹の魂が内包しておる“勇者の剣”は───」
そこで王と俺が眩く輝いた大樹の魂に目を向けると、勇者は??ジュイネは既に勇者の剣を手にした所だった。何とも神々しい光景だ。これならば??ウルノーガはもう容易にジュイネに手を出す事は出来ないだろう。
「????。勇者一行をデルカダール城に招き、宴を催すとしよう」
どういうつもりかは、察しはつく。“その時”が、ウルノーガとの決着をつける時なのだろう。
───デルカダール城のホメロスの部屋に、ホメロスを寝かせた俺は部屋の中に右手の甲の勇者の紋章のチカラで封印を施した。まだ王に取り憑いているウルノーガがホメロスを再び利用しないとも限らないからだ。
それにホメロスは、このまま死にはしないにしても長年ウルノーガの闇のチカラに魅入られていた事もあり、暫くは目を覚まさないだろう。後でゆっくり、話せる時がまた来ればいいが。
??それから俺の足は、“彼”の居る貴賓室へと向かっていた。コンコン、と軽くノックをすると、中から短い返事が返ってくる。
「どなたですか?」
「俺だ。あ、いや??グレイグだ。開けてもらえないだろうか」
「──────」
警戒、されているのも無理はない。今この時の“彼”は、俺が仲間だった事も、特別な関係であった事すら知らぬのだから。
??少しして、カチャリとドアが控え目に開いた。
「どうぞ、入って下さい??グレイグ、将軍」
どす黒く、禍々しい闇の呪いに一切染められていない、かつての在りし姿がそこにはあった。凛々しくもあり、可憐で儚げな───
部屋には入ったものの、何と切り出して良いか判らない。
「ぁ、あの??どうしてそんなに、見つめてくるんですか」
「??む、すまん。そんなに見ていたか。深い意味は、ないのだが」
いや、言葉と裏腹に大いにある。しかし、“彼”は戸惑いまともに目を合わせようとしてくれない。無意識に見つめ過ぎて、嫌がられてしまっただろうか。
「命の、大樹での件は??ありがとうございました。あのままだったら、みんな危なかったかもしれない。やっぱり、とても強いんですねグレイグ将軍は」
「俺のチカラだけではないし、礼には及ばない。これまでの、非礼を考えれば??。もっと早く間違いに気付き、お前達の??お前の、味方になっていれば良かったのだがな」
「それも、そうだけど??イシの村のみんなを、城の地下に匿ってくれていたから、デルカダール城から完全に離れるわけにもいかなかったんでしょう?」
「あぁ??確かにそれもある。王は村人を生かしておく
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