暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第2部
スー
唐突な別れ
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
イグノーが持っていた杖を拾ったんだが、必要ならあんたにやる」
 そう言うとユウリは、持っていたイグノーさんの杖をカリーナさんに渡した。
「ああ……。これはまさしくあの人が持っていたもの……。けれど、これは私が持つにはあまりに分不相応だわ。よろしければユウリさん、あなたが持っていてくれないかしら?」
「別に構わんが、俺もこいつも装備することは出来ないぞ?」
「それでも、きっと魔王との戦いにきっと役に立つことがあるはず。イグノー様の使った杖だもの」
 そう言ってカリーナさんはユウリに杖を返した。ユウリもまた、もらっておいて損はないだろう、という表情で杖を眺めていた。
 その後カリーナさんは、帰る前に私たちに再び美味しいスープをご馳走してくれた。案の定、私もユウリも、おかわりするくらいたくさん食べてしまったのは言うまでもない。
 カリーナさんに別れを告げて船へと向かう道中、私たちは次の目的地であるランシールのことを考えていた。
「次はランシールだな。サイモンが挑んだという修行場に挑戦するぞ」
「うん!!」
 ランシールには、勇者サイモンが挑んだとされる修行場があるという。魔王に対抗する力をつけるため、私たちはそこでレベルアップを図る予定だ。
 先を歩くユウリの言葉に意気揚々と返事をすると、ぴたりと彼の足が止まる。そして、私の方を振り返り、
「すっかり元気になったみたいだな」
 そう安堵したように話しかけると、いつになく優しげな表情で私を見返した。
 普段とは違うその表情にドキッとしてしまった私は、柄にもなく照れてしまい、しどろもどろになりながらもお礼を伝える。
「あ、うん。心配してくれたみたいで、その……ありがとう」
「別に、お互い様だろ」
 背中越しに答えると、それきりユウリは何も言わなかった。
 このふわふわした気持ちがなんなのかは分からないが、ちゃんとユウリにお礼が言えたことにホッとする。
ともあれ、無事にグリーンオーブを手に入れ、魔王の城へと一歩前進した私たちは、次の目的地であるランシールに向かうのだった。


[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ