第2部
スー
唐突な別れ
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イグノーが持っていた杖を拾ったんだが、必要ならあんたにやる」
そう言うとユウリは、持っていたイグノーさんの杖をカリーナさんに渡した。
「ああ……。これはまさしくあの人が持っていたもの……。けれど、これは私が持つにはあまりに分不相応だわ。よろしければユウリさん、あなたが持っていてくれないかしら?」
「別に構わんが、俺もこいつも装備することは出来ないぞ?」
「それでも、きっと魔王との戦いにきっと役に立つことがあるはず。イグノー様の使った杖だもの」
そう言ってカリーナさんはユウリに杖を返した。ユウリもまた、もらっておいて損はないだろう、という表情で杖を眺めていた。
その後カリーナさんは、帰る前に私たちに再び美味しいスープをご馳走してくれた。案の定、私もユウリも、おかわりするくらいたくさん食べてしまったのは言うまでもない。
カリーナさんに別れを告げて船へと向かう道中、私たちは次の目的地であるランシールのことを考えていた。
「次はランシールだな。サイモンが挑んだという修行場に挑戦するぞ」
「うん!!」
ランシールには、勇者サイモンが挑んだとされる修行場があるという。魔王に対抗する力をつけるため、私たちはそこでレベルアップを図る予定だ。
先を歩くユウリの言葉に意気揚々と返事をすると、ぴたりと彼の足が止まる。そして、私の方を振り返り、
「すっかり元気になったみたいだな」
そう安堵したように話しかけると、いつになく優しげな表情で私を見返した。
普段とは違うその表情にドキッとしてしまった私は、柄にもなく照れてしまい、しどろもどろになりながらもお礼を伝える。
「あ、うん。心配してくれたみたいで、その……ありがとう」
「別に、お互い様だろ」
背中越しに答えると、それきりユウリは何も言わなかった。
このふわふわした気持ちがなんなのかは分からないが、ちゃんとユウリにお礼が言えたことにホッとする。
ともあれ、無事にグリーンオーブを手に入れ、魔王の城へと一歩前進した私たちは、次の目的地であるランシールに向かうのだった。
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