第2部
スー
唐突な別れ
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私に言われて、今まで手にしていたランプがいつの間にかなくなっていることに気づく。
「あのランプも、役目を果たしたから消えちゃったのかな」
「……そうかもしれないな。それにしても、預言をした銀髪の女が気になるな」
結局彼女の残した預言のおかげで、オーブも手に入ることができたし、イグノーさんやテドンの町の人も天に還ることができた。今は生きているかも分からないが、もし彼女に会うことが出来たら、お礼を言わなければならない。
けれどユウリは、手のひらで踊らされた感じがして気に入らん、と独り言ちながら、オーブを鞄にしまい込んでいた。
確かオーブを集めたら不死鳥ラーミアが復活するとか言ってたっけ。あれ? そう言えば不死鳥ラーミアって……。
「そういえばさ、ラーミアって名前、『勇者物語』の中に書いてなかった?」
あの物語の内容も、世界を滅ぼそうとする魔王が現れ、勇気ある若者が伝説の生き物ラーミアの力を借り、魔王を倒すという話だったはずだ。この前エジンベアでマギーと話していたときも度々勇者物語の話は出てきていたから、よく覚えている。
あのときは何も気にせずただ主人公の勇者がかっこいい、自分も魔王を倒せるくらい強くなれたらいいのに、そんな程度しか思っていなかったんだけど。
「あれってもしかして、実話だったのかな?」
イグノーさんの言うラーミアが、『勇者物語』にでてくるラーミアと同一であるのなら、あのお話自体が本当にあったことに違いない。
「さあな。ただ、現実に『魔王』という存在がいて、『勇者』と呼ばれる俺がここにいるのなら、大昔に同じようなことがあってもおかしくはない」
と、人ごとのように話すユウリ。むしろ自分が物語の主役みたいな存在だというのに、ずいぶんと今の状況に関して淡白だ。
「とりあえず、もうここに用はない。船に戻るぞ」
「う、うん」
ユウリの意見に同意し、牢屋を出ることにしたのだが、すぐにユウリの足が止まった。
「どうしたの?」
彼の足元には、イグノーさんが手にしていた杖がある。それを拾い上げると、
「イグノーの形見をこんなところに放置するのも忍びないからな。一応拾っておこう」
そう言ってユウリはそのまま持って帰ることにした。
その後テドンの町をあとにした私たちは、彼の遺志を伝えるべく再びカリーナさんの家へと足を運んだ。
快く出迎えてくれたカリーナさんは、イグノーさんの伝言を伝え聞いた途端、泣き崩れてしまった。
その様子を、私たちは見守ることしか出来なかったが、しばらくしてカリーナさんは涙を拭き、気丈に振る舞った。
「彼の言葉を届けてくださって、ありがとう。あなたたちの旅に、神のご加護があらんことを」
どこか吹っ切れた様子のカリーナさんは、私たちのためにお祈りをしてくれた。
「そうだ、
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