六十二 ある忍びの生き様
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が飛び出した。
蛇の如く蛸に飛び掛かる。先についた鉤が蛸足の吸盤を捕らえた。
ザクの身がぐいっと引き戻される。
蛸足の吸盤に引っ掛けた縄を引き寄せると同時に、ザクは自分の足首を掴んでいる蛸足へ左腕を向けた。
手のひらに穿たれた排空孔。其処から放出された突風がキラービーを一瞬怯ませる。
「放せ、タコヤロー!【斬空極破】!!」
先ほどの風遁よりも威力のある風が蛸足を襲う。
一瞬怯んだ隙を突いてキラービーの足から逃れたザクは、息も絶え絶えのサスケをチラッと一瞥した。
キラービーの攻撃で胸部を抉られ、動けずにいるサスケを見て僅かに顔を顰めるも、声を張り上げる。
「うちはサスケッ!てめぇは大蛇丸様の…三忍の弟子だろーが!蛸如きに殺されるようじゃ、大蛇丸様が泣くぜ…!あの方の期待を裏切るなよ!」
義手に仕込んだ鉤付き縄でキラービーから脱したザクは、次から次へと襲い来る蛸足の猛攻を掻い潜りながら叫ぶ。
大蛇丸をサスケが倒したなどと、ザクは信じていなかった。
大蛇丸様がこの世からいないなどと、そんなはずはないとどこか確信していた。
「此処で、てめぇを見殺しにしたら大蛇丸様に申し訳が立たねぇだろうが」
あの、大蛇丸様が認めた相手をみすみす死なせるわけにはいかない。
だからこそ、キラービーの強さを目の当たりにして、一度戦線離脱したものの、ザクは再びこの場に舞い戻ってきたのだ。
──覚悟を決めて。
「かつて、てめぇに折られかけたこの腕で、てめぇを救うんだ。ざまあみろ」
中忍選抜第二試験。
巻物争奪戦にて、「両腕が自慢らしいな」とサスケに折られかけた腕。
シノの試合で片腕こそ失ったが、今は大蛇丸から頂いた義手がある。
「俺は…俺は弱くなんかねぇぞ!タコヤロー、てめぇなんざサスケの出る幕もねぇ!この俺がブツ切りに刻んでやるよッ」
シノの試合で排空孔に虫を詰められ、その状態で【斬空波】を撃った故にザクの腕は暴発した。
つまり、ザクの腕そのものが砲身である。
ならば。
ザクの身体が一回り大きくなる。
左腕が破裂するかのように太くなり、その風穴が凶悪な鎌首をじわりともたげた。
「だからてめぇは大蛇丸様の期待に応える為にも──」
ハッ、と気づいたキラービーがもがいた。
だが、遅い。
その義手で獲物である蛸足を捉える。
決して逃さぬように。
今から仕出かそうとする己の行動に、大量の脂汗が額に浮かぶ。
その恐怖を押し殺してザクはニヤッと好戦的に嗤った。
ほんの一瞬、脳裏に過ぎるかつての仲間の姿が過ぎる。
うちはサスケ抹殺の為に中忍試験に送り込まれた音忍三人衆。
ドス・
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