暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【下】
六十二 ある忍びの生き様
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ころで──。




「敵を刺す♪敵刺すロングホーン♪ウィィィィィィ!!」


八本の尾が縦横無尽に、サスケとアマルを襲い掛かる。
差し迫る死を、アマルは見た。

息も絶え絶えにサスケが眼をうっすら開ける。
巻き込んでしまったアマルだけでもこの場から逃がさなければならない。


だが、身体が動かない。
息が、できない。首と胸の部分が内蔵ごと吹っ飛んだのだ。


胸部を抉られ、息をする事さえ苦痛だ。
こんなにも自分は無力だっただろうか。


思い上がっていた。思い上がっていたんだ。
大蛇丸を倒して、いい気になっていた。
『暁』に入って初めての任務である尾獣狩り。
これをクリアしないと『暁』のメンバーとして認めてもらえない。


だが蓋を開けてみればどうだ。
実力差を思い知らされ、絶望の淵に追いやられ、今は死を目前にしている。


どうしようもない圧倒的な絶望が押し寄せる。
為すすべもなく押し寄せる死。





その内の一本が次の瞬間、スパッと断ち切られた。







「あ?」

尾獣化したキラービー…牛と蛸の化け物と化した八尾の蛸足。
その脚が一本、空を舞った。

あちこちで上がる水飛沫。
風の斬撃が水をスパッと断ち切ってゆく。


「【斬空破】!」

眼に見えぬ突風。
サスケとアマルへ襲い掛かった蛸足を、風の衝撃波が吹き飛ばす。

「おいッ!なにボケっとしてんだ!」


見覚えのある術だった。
聞き覚えのある声だった。


「負け犬が戻ってどうする♪負け犬は負け犬らしく尻尾巻いて逃げろYO、バカヤローコノヤロー♪」
「うるっせェよ、タコヤローがッ!!──おい、うちはサスケッ」


巨大な姿となった八尾に言い返すと、突如乱入した彼はサスケへ怒声を浴びせる。



「てめぇは大蛇丸様のお気に入りだろーが!こんなところでくたばってんじゃねぇ!!」
「カッコつけて颯爽登場♪だけどカッコ悪く即退場♪」


キラービーが蛸足を振り上げる。その脚が、この場に舞い戻ってきた相手の足首を掴んだ。
空中を思いっきり振り回され、吹き飛ばされそうになった彼はチッと舌打ちすると、右手を掲げる。

「舐めるな…ッ」



生身ではない右腕。
かつて中忍予試験にて、油女シノとの試合で排空孔に虫を詰められ、暴発させられた腕。
失った生身の腕と引き換えに、大蛇丸から直々に頂いた義手を彼は──ザク・アブミは掲げた。
八尾の蛸足に狙いを定める。


アタッチメント式の義手。その手首を外すと、空洞が顔を覗かせる。

うねる八尾の蛸足の一本。それに照準を合わせる。
蛸足で遠方に飛ばされる直前、空洞から縄
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