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渦巻く滄海 紅き空 【下】
六十二 ある忍びの生き様
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共にしているのは、大蛇丸なき今、自分でもどうしたらよいのかわからないからだ。

貧しかった幼少の折に大蛇丸に才能を見出されたザクは、以来、大蛇丸に選ばれた事を生きる拠り所にし、彼に忠誠を誓っていた。

かつて中忍第二試験の『死の森』にて、巻物争奪戦の際にサスケは相手の腕を折りかけた事がある。
それが当時、大蛇丸に命じられ、サスケを襲った音忍の一人――ザクだった。

その後、予選試合で対戦相手のシノに敗れ、その右腕を失ったザクだが、彼はサスケを未だに恨んでいた。加えて、大蛇丸のお気に入りであるサスケが妬ましく憎く、事あるごとに喧嘩を吹っ掛けていた。

更には、そのサスケが大蛇丸を倒したという。
ザクにとっては復讐対象に他ならないサスケが八尾に殺されようが何されようが、どうでもよかった。
そう、サスケは思っていた。



「付き合ってられねぇ…俺は抜けさせてもらうぜ」


呆れた口振りで、ザクが後ずさる。
その場から立ち去ってゆくザクの後ろ姿をサスケの捕縛対象である男──八尾、否、キラービーはサングラス越しに胡乱な目つきで眺めた。


「なんだァ?仲間割れかよ、コノヤロー♪自らバラバラにならずとも俺がすぐバラバラにしてやるぜ、バカヤローコノヤロー♪」
「…──元より俺に仲間などいない」


能天気にラップを口ずさしつつ煽るキラービーに対し、サスケは冷ややかに返す。
立ち去ったザクには目もくれず、サスケは印を結んだ。

鳥が啼く。
緊迫めいたこの場には不似合いの、チッチッチッチと鳥の鳴き声が響いた。
バチバチとサスケの左腕が輝き、雷が迸る。
キラービーの顔色が変わった。


突き刺さった刀に【千鳥】を流す。
雷を帯びた刀へと変貌したガード不可の千鳥刀を、しかしながらキラービーは容易く受け止めた。

「な…ッ、」


サスケと同じくチャクラを流した剣で、千鳥刀を受け止めたキラービーの口許が弧を描く。
剣を咥えたまま口角を吊り上げたキラービーに嫌な予感を覚えたサスケは自らに雷遁を流した。

「舞!蝶のように舞い!八尾!蜂のように刺ァあァァァあァす!」


キラービーの剣が、サスケの千鳥刀を上回る。
キラービーに弾き飛ばされたサスケの身体が地面を転がった。
数本の剣がサスケの身体に突き刺さる。
間髪を容れず、キラービーは地を蹴った。剣の切っ先を向ける。


「そして!これでトドメ刺ァァァあァす!」







刹那、見るからに毒々しい色を帯びた霧が、キラービーの眼前に広がる。
反射的に後退したキラービーの視界を、霧が阻んだ。

「なっ…!こりゃ毒かYO!」


咄嗟に鼻と口を押さえたキラービーが霧の発生源へ視線をやる。


「あの
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