六十二 ある忍びの生き様
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八本の剣が躍る。
晴れ渡った空の青に、白刃が煌めいた。
白い靄が漂う岩々。その合間を縫うように飛ぶは、鋭き眼の鴉。
風を切り、霧を裂き、巨大な岩々の間を飛ぶ鴉の鳴き声がこだまする。
やがて辿り着いたその先は、雲隠れの里の修行場である雲雷峡。
長い長い階段を下りたその先には、ちょっとした広場がある。
存外広い其処では、ラップを口ずさむ男が八本もの剣を駆使していた。
口に、脇に、肩に。
身体の節々に刀身を固定するその構えは自由すぎる。
剣術ではありえない構えだが、その男は見事に八本の剣を使いこなしていた。
(──コイツ、)
サスケの眼が赤く染まる。
廻る写輪眼。
捕縛対象である男が地を蹴った。
剣を弾く。かと思えば逆立ちした男が足先で器用に剣を操る。
それをもサスケはほとんど反射的に男の攻撃を見切る。
剣と刀が 搗ち合い、火花が散った。
サスケの眼が男の動きを捉える。考えるよりも先に身体が動いた。
剣の一本をかわしたかと思えば、ぬるり、と地面を滑るように屈んだ男がサスケの足元をすくう。
そのまま足技で勢いよく空へ打ち上げられたサスケは、宙で体勢を整えた。
空中戦へ移行する。
足場が地面から離れているにもかかわらず、男の勢いは止まらない。
回転しながら繰り出す剣戟をサスケは弾き、受け流し、回避した。地面へ着地。
その着地点へ狙いすましたかのように男の剣が地へカカカッ、と突き刺さる。
足を狙うその剣を迂回するかのように回避するも、その後を追った男がバク転しながら、地面に突き刺した剣を回収してゆく。
刀を全身で自在に操り、変幻自在の斬撃を繰り出す相手の奇想天外な動きは、写輪眼の動体視力でも対応が難しい。やわらかで柔軟な動きはまるで蛸のようだ。
全身を余すところなく駆動させる男の動きに併せて八本の剣が宙を舞う。
八本の剣。太刀筋がまるで読めない剣の軌跡を眼で追う。
しかしながら、視界に飛び込んでくる光景に思考と身体が追い付かない。
眼は追いつく。が、男のほうが一枚、上手だった。
頭上からの攻撃。
相手の回転の威力を殺しきれずに、サスケは見事に吹っ飛ばされる。刀が地面に突き刺さった。
受け身も取れず、地面に転がったサスケを見て、後方で控えていたザクが呆けた表情を浮かべた。
「なんだよ、コレ…人柱力ってのは化け物ばかりか」
呆然と呟く。
そもそも成り行きでこの場へ赴いたザクは、サスケに手を貸す気など毛頭なかった。
『暁』に入ったサスケの任務である八尾捕縛。
それに付き合う義理などザク・アブミには無い。
大蛇丸への忠誠心はあれど、大蛇丸を裏切り『暁』に入ったサスケに対しては強い嫉妬をザクは抱いていた。
それでも猶、サスケと行動を
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