第7章 日常編
第32話 記憶
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で気絶、ナツは土手上で放心状態となった。そんなナツを放るようにして、グレイとハッピーはエルザ達の元へと戻っていった。
エルザ達は、魔導書『メモリーデイズ』という本の解析に成功した。この本、開いたときに一番思い出そうとした時代へと飛ぶ魔導書であった。この778年の時代に飛んだのは、ナツが首の傷を思い出そうとしていたことがその所作である。そして、本来この魔法は思い出した本人のみに有効であったが、饅頭のように重なり合っている状況下では、皆がナツに触れている状態であったがために、関係のないエルザ達まで巻き込まれたという形となった。
そして、この魔導書の有効時間は6時間であり、これを過ぎると強制的に魔導書の魔法が発動し、現代へ強制的に帰ることとなる。しかし、その時に帰れるのは本人だけであり、他のものは魔導書の発動の瞬間にナツに触れていなければ帰れないというものであった。
そのため、グレイとハッピーと合流したエルザ達は、急ぎナツのいる川の土手へと向かっていた。
ナツは、子どもの自分が負けたことが受け入れられず、土手下で伸びている子ども時代の自分を叩き起こし、グレイを追いかけるように怒号を飛ばす。子ナツはそんなナツの怒号に目を覚ますが、ナツも先ほどまでグレイと殴り合っていたこともあり、顔がパンパンに張れていたために、悪魔のような形相となっていた。子ナツは恐怖で魔法を用いてナツを攻撃するが、子ナツの攻撃はナツに簡単にあしらわれ、その衝撃によって自身の首を傷つけてしまう結果となった。そう、つまり、ナツの首の傷、引いては恐ろしい悪魔とは自分自身であり、傷をつけたのは未来の自分だったのだ。そのことに気付いたナツは、謎の納得感を得ていたが、後ろから鬼の形相で走ってくるエルザ達によってその思考が停止する。子ナツは、自分の名前を叫びながら迫ってくる珍妙な集団に更なる恐怖を覚え、マフラーを拾い上げて逃走する。エルザ達はナツに襲い掛かるようにして乗りかかる。これで魔導書が発動すれば無事に現代に帰れる…はずであったが…。
エルザ達は、ナツに覆いかぶさった後、数秒の沈黙の後、時代の変化が訪れないことに、疑問の様子を浮かべていた。皆で顔を見合わせるが、特に変化はない。そんな折、エルザの顔が青白くなっているのを見る。
「す、すまん。焦っていたせいで、魔導書を…落としてしまった…」
エルザの言葉に、皆の顔が驚愕に包まれる。
「ちょ、ちょっと!魔導書が近くになかったら、いくらナツに触れてても意味ないじゃない!」
「なにしてんだ!エルザ!!」
「どうするんですかー」
ウルティア、グレイ、ウェンディが抗議の声を上げたその時、後ろから男の声が聞こえた。
「落し物はこれだろ?エルザ」
エルザは名前を呼ばれたため、後ろを振り向く。すると、自分の方に向かって魔導書が降ってくる
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