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不可能男との約束
祭の前の静寂
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が聞こえたので、皆振り返った。
第五特務のネイト・ミトツダイラと酒井学長であった。
三河に降りるという事で、梅組は挨拶をし、そして何故こんな場所で集まって話しているのかという事になり、その目的をトーリは酒井学長に話した。
その目的を聞いて苦笑するのは当たり前の反応だろうと周りは思う。そして最後に酒井学長が告げる。

「まぁ、頑張れトーリ。俺はもう年だからお前さんらに何かをしてやる事は出来ないが、外野なりの応援はさせてもらうさ。それにいい加減、律義にお前を待っている馬鹿を何とかしてやれ」

その言葉に周りや、密かにその騒ぎを茶道部の和室から見ていた浅間も首を傾げた。
だけど、一人。
言われたトーリだけは頭を掻いて振り向く。その振り向いた視線の先はさっきまで熱田・シュウがいた場所なのだが

「っていないで御座る!?」

そこには誰もいなかった。
周りを見回すがやはりどこにもいない。目を逸らした隙にと言えば楽に思えるかもしれないが、ここには常識などは最低ランクの人間が集まっているかもしれないが、戦闘スキルでは各々得意分野は違うとはいえ全員トップクラスである。
それなのに逃げられたことに誰も気づくことが出来なかったのである。
その事に酒井学長は頭を掻いて喋る。

「逃げ足が速いなぁ」

「学長先生。俺の親友はああ見えて実は照れ屋なんだよ〜。可愛い所、あんだろ?」

それに何故かトーリが親指を立てて我が事のように喜ぶ。
それに苦笑しながら、酒井学長は先に去った。
ちなみにその後、ネイトは葵姉弟の陰謀によって酷い事になるのだが、そこはあの姉弟に関わったのが間違いだったという事だろう。






関所への道上を中年のおじさんと男子の制服を着た学生が歩いていた。
一人は酒井忠次。
そしてもう一人はアリアダスト教導院副会長の本田正純である。
二人とも三河に向かっているのである。だが、その間にこっちに来るのが空の貨車などで疑問に思いながらの行動である。
まるで形見分けだと正純は思った。嫌な例えだとは分かっているが、それでもここまで異常だとそう思ってしまう。
その間に上空をK.P.A.Italia所属の教皇総長インノケンティウスが所有するガレー船栄光丸(レーニョ・ユニート)が通り自然と大罪武装(ロイズモイ・オブロ)の話になってしまった。
暴食
淫蕩
強欲
悲嘆
憤怒
嫌気
虚栄
驕り
それらをモチーフにされて作られた武装。そしてそれらを持つ人間を八大竜王と呼んでいる。
今の栄光丸に乗っているはずの教皇総長が正しくその八大竜王の一人である。
武器関係に関してはあんまり詳しくはないが、それでも大罪武装の一つ一つが都市破壊級の武装だと聞いている。勿論、全部が全部破壊だけをする武装ではない
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