第一章
[2]次話
呪うとそうなる
ある日のことだった。
家が神社である大学生佐古下康成細面で中性な顔立ちで黒髪を真ん中に分けてウェーブをかけさせている背の高い彼は境内を掃除している時にだ。
神社の敷地内である神社の裏の林の木の一本にあるものを見た、そしてそれを見て手に取ってから神主である父の透谷自分と同じ顔だが皺が多く年齢が感じさせる彼に話した。
「あの、こんなの見付けたけれど」
「ああ、それは」
息子の手にあるものを見てだ、父は言った。
「最近ずっと見なかったがな」
「ずっとって」
「お父さんが若い頃一度あったぞ」
「そうだったんだ」
「呪いの藁人形な」
「こんなのやる人実際にいるんだ」
「いるぞ、どうしても憎い相手がいてな」
それでとだ、父は息子に話した。
「それでだ」
「呪いをかけるんだ」
「そんな人いるんだ、丑の刻参りをしてな」
「全く。こんなことする人なんてね」
康成は顔を顰めさせて言った。
「どうかしてるよ」
「それも人間だ」
「人を怨み憎むのもだね」
「そういうことだ」
「ちょっと夜見張る?」
息子はここで言った。
「母さんにも言って」
「夜に来たらするなって言うのか」
「それに夜に神社に来るって不法侵入だしね」
「それはしなくていい、神社は何時誰がお参りしてもいいだろ」
父はまずこのことから言った。
「だからな」
「来ても注意しないんだ」
「ああ、それに夜見張ること自体もな」
このこともというのだ。
「しなくていいぞ」
「人を呪うことなのに?」
「ああ、そうだ」
「神主としてそれはよくないんじゃ」
「そのうちわかる、止めることはない」
「そうなんだ」
「ああ、夜はしっかり寝て昼は大学と家の仕事に専念しろ」
笑ってこう言ってだった。
透谷は実際に夜はしっかり寝た、康成もそれを見てだった。
夜はしっかり寝ることにした、だが暫くの間ずっとだった。
神社の裏の林には藁人形があった、五寸釘で木に縫い付けられていたそれを見れば明らかだった。康成は正直心地よい気持ちはしなかった。
だが暫く経って藁人形はなくなってだった。
入れ替わりに一人の中年の女性が疲れきった顔で言ってきた。
「最近悪いことばかり起こるので」
「お祓いをですか」
「お願い出来ますか」
こう透谷に言っているのをだ、康成は見た。
「どうか」
「わかりました」
透谷は二つ返事で応えた、そしてだった。
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