暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第120話:その手は誰かが握っている
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い出というものは生きていれば溜まっていくもの。だから必要以上に力を使わずにいれば、また溜める事は理論上可能だ。
問題なのはキャロルがこの場でどれ程の想い出を消費するつもりなのかという事。焼却しすぎればそれこそ取り返しのつかない事になりかねない。
にも拘らずキャロルはその力を消費してまで、颯人達5人と戦っている。それが意味するところは…………
「キャロルは、この戦いで結果を出すつもりです」
エルフナインの言葉を証明する様に、立ち尽くす事を止めたキャロルは縦横無尽に動き回りながら糸で四方八方を斬りまくる。鋭い糸の斬撃が施設を次々と破壊し、辺りは火の海に包まれる。
そんな中でキャロルの攻撃が激しく集中しているのは颯人と透、そして奏の3人だった。
颯人がキャロルに向け引き金を引けばそれをキャロルは張り巡らせた糸で防ぎ、透が接近しようとすれば糸を投網の様に纏めて放ち捉えようとする。そして2人が距離を取れば、奏に向けて強烈な砲撃が飛ぶ。
勿論翼とクリスに対しての攻撃も欠かさない。キャロルの攻撃が3人に集中していると見て隙を突こうとすれば、キャロルは即座に反撃を放ち迎え撃つ。
「その程度の唄で俺を満たせるか!!」
キャロルが放った風の砲撃が、翼とクリスを纏めて吹き飛ばす。
「うわぁぁぁぁっ?!」
「ぐっ!?」
地面に叩き付けられ、そのダメージに動けずにいる2人を颯人達は庇う様に立ち塞がる。その様子をキャロルは高所から見下ろしていた。
「くそ、お高く留まりやがってよぉ」
「でも実際結構強いぞ?」
「だからって諦めていられるかよ」
そうは言うが、あの状態のキャロルにはなかなか付け入る隙が無い。攻撃は余波だけでもこちらを吹き飛ばすほどだし、直撃など喰らおうものならただでは済まない事は確実だ。
もしこの状況を覆す事が出来る可能性があるとすれば…………
「翼、クリス! 改修が終わったって事は、搭載は済んでるんだよな?」
それは勿論、切り札であるイグナイト・モジュールの事に他ならない。奏を除いて、全てのシンフォギアにはこの新たな切り札が搭載される事になっているのだ。
「あ、当たり前だ!」
「試すには、ギリギリ大丈夫ってとこだな」
痛む体に鞭打って何とか立ち上がった2人をキャロルは睨み付ける。
「フン、弾を隠しているなら見せてみろ。俺はお前らの全ての希望をぶち砕いてやる!」
キャロルのその発言に、誰よりも強く反応したのは颯人だった。彼にとって希望とは決して軽い言葉ではない。それを砕くなどと言われて、黙っていられる訳が無かった。
「言うじゃねえか、俺を前にそこまで吠えるとは……ならお望み通り、希望って奴を見せてやるよ。翼ちゃん! クリ
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